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-原田side-
｢左之助ー！ 左之助ー！｣
巡察のために集まった隊士たちが揃っていく中、Aの声が聞こえた。
｢A、そろそろ行くぜ｣
そう言い振り返ると、Aと、そして一の組の隊士が１人いた。
走ってくるAと、ゆっくりとあとを追うその隊士。
俺は腰を下げた。
｢左之助、見て｣
Aは自慢げに紙をよこしてきた。
俺は手に取りまじまじと見る。
｢猫か。上手く描けたな｣
｢うん。総司が猫を持っててくれたの｣
嬉しそうに笑うA。
｢くれんのか？｣
｢うん｣
｢ありがとな｣
微笑み返すと、Aは勢いよく抱きついてきた。
頭をなでてやっていると、ふと俺は柳を思い出し目を向ける。
俺たちの様子を見ていた柳は、俺と目が合うと、はっとして一礼した。
｢A。柳と仲良くなったのか｣
｢うん。木から落ちて、受け止めてくれた｣
笑って話すAに、俺は目を見開く。
｢三凪さん、その紙が木に引っかかったようで、木に登っていらして……三凪さんは１人で着地するつもりだったらしいです｣
苦笑しつつ説明する柳に、俺も苦笑した。
そしてまだ抱きついているAを一旦離す。
｢おいおい。また危なっかしいことしやがって｣
Aは不思議そうに頭をかしげた。
そして何かを思い出したように言った。
｢左之助。A巡察行かない｣
｢行かねえ？｣
すこし楽しみにしていた俺は、その言葉に気持ちが一気に下がる。
｢柳と団子食べる｣
申し訳なさそうにする柳を見るあたり、きっとAが無理やり決めたんだろう。
俺は眉を下げて笑った。
｢柳。頼んだ｣
｢はい｣
Aを柳の方に向かせる。
｢行ってこい｣
｢うん｣
Aは、小さな手を力強く振って柳と町へ出た。
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入華(プロフ) - 意見、質問、感想などがあれば書いてくださると嬉しいです！ (2016年9月16日 6時) (
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作者名：入華 | 作成日時：2016年9月11日 13時
