38.静寂 ページ41
鐘の音が響き渡った。
目の前に広がるのは先ほどとは打って変わって広がる風景。
エリア中央に崩れかけた病院。
『おぉ！！ここは聖心病院じゃあありませんか！』
前世、ゲームをしていた身からすればここはとてもチェイスがしやすい。ウチからしたら、の話だけどね。
そうは言っても、よほど自信があるのか彼女の足取りは軽い。
ゲームをしていた身とゲームをする身は全然違うということをほぼ除外している。
『よくハンターはここから狙いに来るけどいいか！』そんな事を呟きながらAは小さな小屋の中の暗号機の解読に専念した。
しかし、数秒後。
気配もなく隣で暗号解読をする男によってAは驚きのあまり調整を失敗した。
バチィッ！！
暗号機から出る火花の音とAの叫び声が同時に轟く。
だが、男はただ淡々と解読を進めていく。
「…......」
『.......あ、あの』
このままじゃまずい。
まずいのダブルパンチだ。
男の色素の薄い瞳がAをしっかりと捉えた。
『.....暗号機......大丈夫ですか？』
大丈夫な訳ないだろう。
心の中でそう自分にツッコんだところで遅い。
大体、驚いたとはいえ暗号機の調整を失敗してしまったうえに、彼との解読はかなりまずい。
なぜかって？
それは彼がイソップ・カールだからだ。
社交恐怖症の彼は他者と解読すると解読速度が減速してしまう。
それを分かっているからこそAは先ほどの言葉をかけたのだが......
「......」
言われた当の本人はじっとAを見つめたまま、解読をし続ける。
流石のAも沈黙には耐えきれない。
思い切ってもう一声掛けてから、別の暗号機へと向かおうと口を開けたが......
「ねぇ、君、死んでる？」
何を聞かれてるんだろうか。
そんな感覚さえ彷彿させる問いにAは言葉を失った。
「死んでいる」
なぜ分かったのだろうか。
いや、なぜそう感じたのだろうか。
どっちらかだとしても彼女はこう答えるほかない。
『えーっと.....まぁ、一応......？』
「.......」
スンッとこちらを見つめるイソップにAは、焦った。
だって「あ、うん。死んでるよ」なんて軽々しく人に言えるわけないじゃん！！
こう答えるしかないんだよぉおお！！
口には出せないイソップへの弁明。
それが彼に届くわけもなく、再び静寂が二人を包んだ。
しかしその静寂は、イソップによって壊されるのだった。
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かみきれ(プロフ) - すごい好きです。作者様は神ですか？お気に入り登録失礼します！ (6月1日 19時) (
レス) @page42 id: 1778223a4a (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - この小説を私の小説の参考にしても宜しいでしょうか？ (2022年10月4日 5時) (レス) id: ebe50ea529 (このIDを非表示/違反報告)
推しは嫁(プロフ) - めっちゃ続き気になる！((((*゜▽゜*)))) (2021年2月2日 8時) (レス) id: 083dca73bd (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - 僕です。さん» ありがとうございます！高校生になってから更新厳しいですが必ず終わらせようと思ってます！応援よろしくお願いします！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - soragirl3008さん» ありがとうございます！白黒無常さんとはこれからも関わっていくのでお楽しみに！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暇人悪魔M:) | 作成日時：2018年11月5日 0時
