35.謝必安と范無咎 ページ38
「早く貴方に会いたくてサバイバーを脱落させようとしたのですが.....」
少年は、少し眉を下げながら自嘲気味に笑った。
「白い服を着たサバイバーがなかなか捕まらなくて、あの時はイライラしていたんです。」
白い服を着たサバイバーとはエミリーのことだろう。
『いや、大丈夫ですよ！
エマちゃんは怖がってたみたいですけど、私は全然平気でしたんで！』
エッヘンと胸を張りながらAがそういうものだから、少年は少し驚きながらもクスクスと笑わずにはいられなかった。
「やはり范無咎の言う通り、面白い方ですね。」
『.....ファン....？』
Aは少年の言う「ファンウジン」と言う名前に聞き覚えがなかった。
....と言うのも、彼女はidentityVのキャラクターの素性や特質は知っているが名前までは把握していないのだ。
特に白黒無常の場合、漢字まではわかるが名前の読み方を前世でググったことがなかったのだからしょうがない。
首を傾げるAの姿に少年はハッとし、まだ自分たちが正式に名乗っていなかった事に気付く。
「まだ、名乗っていませんでしたね。
私は謝必安と申します。貴方が最初に出会った私そっくりな彼は范無咎という私の友です。」
『ファンウジン....シャビアン.....』
覚えられるようにAは二人の名前を反復した。
その後、Aも名乗ろうとしたが、謝必安と范無咎は記憶を共有出来るらしくAの名前も、何があったのかも全て分かっているのだという。
「それにしても、直接聞けば聞くほど貴方の声は綺麗ですね。貴方の歌も素敵でしたよ。」
うっとりと、目を細めながらそう告げる謝必安にAは鈍器で頭を殴られる程の衝撃を受けた。
え、今なんと...？
開いた口が塞がらないとは、まさにこの事。
羞恥心がMAXまで跳ね上がりそうなAは、懸命に記憶を辿り、歌っていたことを謝必安が知っている原因を探った。
何処で道を踏み間違えた....？
記憶を辿り思考を重ねた結果、Aはとある禁忌を犯していた事に気付く。
そう。
『芸術的センス』という外在特質を忘れていた。
なんでこれを知った時に「他の四人がいる中で歌えと？」って言ってたのに、見事にソレやってのけちゃうんだ自分よ！
脳内で自分にタイキックをかましながら、Aは恐る恐る謝必安を見上げた。
『...え、えと....聞こえてたんですか？』
「勿論です！」
満面の笑みでそう頷く謝必安にAは叫びたくなったのだった。
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かみきれ(プロフ) - すごい好きです。作者様は神ですか？お気に入り登録失礼します！ (6月1日 19時) (
レス) @page42 id: 1778223a4a (このIDを非表示/違反報告)
メグミ - この小説を私の小説の参考にしても宜しいでしょうか？ (2022年10月4日 5時) (レス) id: ebe50ea529 (このIDを非表示/違反報告)
推しは嫁(プロフ) - めっちゃ続き気になる！((((*゜▽゜*)))) (2021年2月2日 8時) (レス) id: 083dca73bd (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - 僕です。さん» ありがとうございます！高校生になってから更新厳しいですが必ず終わらせようと思ってます！応援よろしくお願いします！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
暇人悪魔M:)(プロフ) - soragirl3008さん» ありがとうございます！白黒無常さんとはこれからも関わっていくのでお楽しみに！ (2019年11月17日 22時) (レス) id: b7f6c1e616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暇人悪魔M:) | 作成日時：2018年11月5日 0時
