＊ ページ25
連れてこられたのは、国語準備室。
あぁ、この埃臭さはいつ入っても慣れない。
「何よ櫻井くん」
「まぁまぁ座って座って」
二人きりの時は、先生呼びもしないし敬語でも話さない。
そんな櫻井くんが私を埃まみれの椅子に座らせようとしている。
「ちょっと汚れるんですけど」
「あーこれで拭いて。わりぃ」
投げられたティッシュの箱をキャッチ。
どうして私は櫻井くんにこんな扱いを受けているんだか。
「で、何」
「あのね、単刀直入に言う、俺結婚すんだわ」
は？
いきなりの爆弾発言に、ハトが豆鉄砲くらったような顔になっていたらしい。
櫻井くんが私を見てニヤニヤ笑う。
「えってか彼女いたの知らなかったんですけど……」
「言ってないもんねー」
「あぁそう……まぁおめでと」
「全然心こもってねぇー！」
ガハーっと笑う櫻井くんは、「でね？」と急に顔を真顔にした。
「婚約指輪を贈りたい」
「……ん？」
「彼女の指のサイズを知りたいワケですよ」
「……ねぇ、指輪用意せずにプロポーズしたの？OK貰ったの？」
「……ん？」
「え？だって、結婚決まってるのに、今から婚約指輪用意するんでしょ？」
「……」
「櫻井くんって、横浜とかで夜景見ながら、結婚してください、指輪パカーだと思ってた」
「……おぅ、そうそう、はっは、ちょっと順番が狂ったんだよ！」
櫻井くんの目がどこかを泳いでいる気がする。
用意周到がイメージの櫻井くんでもそんなことあるんだなぁ。
「でね、彼女の指とAの指が似てるからさぁ」
「……は？」
「同じくらいのサイズなんじゃねぇかなーって」
「すごい理論なんだけど」
「うっせ！俺はとにかくサイズを知りたいんだよ！教えろ！」
いつになく強引な櫻井くんに、「薬指は７号だけど……」と伝えると、「７！ラッキーセブン！オッケーイ！」とハイタッチを求めてくるから、とりあえず手を合わす。
何これ。
「彼女と同じじゃないかもよ？」
「Aのが分かればいいんだって！」
「は？」
「は？」
「……意味分かんないけど、とりあえずおめでと。結婚式には呼んでよね」
「おう！お前もな！」
「は？」
「は？」
……気持ち悪いくらいテンションの高い櫻井くんを放っておいて、職員室に戻る。
あ、予鈴。
お昼ご飯、残り食べられないじゃない。
櫻井くんのバーカ。
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cori(プロフ) - 古川さん» コメントありがとうございます！ええっ、そこまで言っていただけて嬉しいです…！実は私もこの5つの話の中で大野先生の話が一番好きで笑 だから余計嬉しいです！ (2019年8月11日 21時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
古川(プロフ) - 大野先生の話めっっっちゃ好きです……こういうのが読みたかったんです……私の需要を満たしてくださり本当にありがとうございます(スライディング土下座) (2019年8月11日 1時) (レス) id: ae72d41905 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - mayuさん» mayuさんありがとうございます(*^_^*)ほんと天邪鬼で手に負えませんね！笑 櫻井先生、もう少しお待ちください！ (2019年7月7日 13時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - 二宮せんせー、ホントに天の邪鬼なんだから…でもそこがすき！(笑)櫻井先生の長編嬉しいです！楽しみにしています！！(^^) (2019年7月6日 21時) (レス) id: 862aa3f0aa (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kana59さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととてもやる気出ます〜！！あとはタイトルさえ決まれば出せるのですが…お待ちください！ (2019年7月6日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年4月19日 21時
