＊ ページ45
もし部長が来なかったら。
私はあの人の言ってること、ほぼ理解出来ていなかったし、無理やり強い力で引っ張られていたし、抵抗は出来なかっただろう。
どこか暗い所に連れてかれて、強いお酒なんか飲まされて、クスリなんか打たれて、マフィアとかに売られて……
考えすぎかもしれないけど、背中がゾワっとした。
自分の手がカタカタ、震える。
「日本でも同じようなことはあり得るけど、言葉は通じるし、叫ぶことだって出来るかもしれない」
「……」
「でもここアメリカだぞ？英語が出来ないお前に、一体何が出来るって言うんだよ」
「……はい」
「どっかに連れ去られて強ぇ酒飲まされてヤられて……」
「……やっぱり」
「あ？」
「いえ、何でも」
「……そんなことになったら、俺はこれからどう生きていけばいいんだよ」
……え？
部長の急に弱弱しくなった声に顔を上げると、部長はこちらに歩いてきて、ソファの下のラグに座った。
少し震えていた私の手を握る。
「……一生恨むよ。俺をアメリカに行かせた会社と、守れなかった自分を」
「えっ……勝手に来た私じゃなくて……？」
「は？何でAを」
「だって、私勝手に来たからあんなことに」
「そりゃ連絡があれば、空港までも迎えに行くし、こんなことは起きなかったと思うけど」
「……優しい」
「それが当たり前だろ。……さっきはマジでゾッとした……」
握ってくれた私の手に部長は自らの額を乗せて、大きな溜息をついた。
溜息は深く、少し手にかかった温かな息で、部長の存在を感じて。
上から見ると少し部長が小さく見えて、そっとその頭に自分の頭をくっつけた。
「翔くん……」
「……」
「勝手に来てごめんね」
「……」
「でも、久しぶりに会えてすっごく嬉しい」
「……」
「それに、助けてくれてありがとう。翔くんはやっぱり私のヒーローだね」
「ヒーローって」
「悲しんでる時とか困ってる時に助けてくれる人はヒーローでしょ」
「……」
「大好きなヒーローだよ」
へへって笑うと、部長の肩も少し上がったから、あ、笑ってるなって思って嬉しくなる。
お互い顔をあげて、部長がソファに座ってくれて、どちらからともなくキスをする。
終わりのないようなキスに気分が高揚するけど、これは聞いておかなければ。
「翔くん……」
「……ん？」
「Sorryの正しい返し方って何ですか？」
「……今する？その話」
「気になる」
「……No problemとか？」
「ノープロブレム！知ってます！」
「……はぁ」
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cori(プロフ) - Yuriさん» いつもありがとうございます！そろそろ帰国してほしいなーと思ってます笑 次移行しますのでもう暫くお待ちください！ (2019年6月4日 7時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！翔くんが帰国するお話が気になります！更新、待ってます！ (2019年6月4日 4時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kaz2nsariさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ニヤニヤしていただけたとのこと、とっても嬉しいです…！早く帰ってきてもらわないと、まだ書きたいことたくさんあるので…！また覗きに来てくださいね〜！ (2019年5月28日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
kaz2nsari(プロフ) - はじめまして！読ませていただきましたが、終始ニヤニヤが止まりませんでした！！翔くんがNYから帰ってきたあとのお話が気になります！！ドキドキ。。 (2019年5月27日 19時) (レス) id: f127e1252b (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - きみきみさん» こちらにもコメントありがとうございます！名前呼びをしてみました。仕事以外で部長と呼ぶとすこぶる怒ります笑 いつかのニノさんで言ってたことを言わせてみました。絶対履いてると思います笑 また来てくださいね！ (2019年5月22日 17時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：cori
| 作成日時：2019年3月26日 19時
