＊ ページ32
「ショウニオコラレチャウ。オコス」
そう言ってマイクさんは、スマホをテーブルに置いたんだろう、天井が映る。
「オキテ」「んー」「ショウ、オキテ」「あぁ……」という声が聞こえ、部長の寝起きの声に胸がギュンってした。
「Aガイル」
「……はっ！？」
大きな声と一緒に、画面がグラっと揺れた。
あ、部長起きたかな……
「どういうことだよ」
「ショウ、ハイ」
画面に部長が映る。
あ、部長……、
「え……何で？」
部長が眉間に皺を寄せた。
それはさながら昨日の飲み会の時に見た部長のようで、少しだけ肩があがった。
「櫻井さん……」
「……A」
「あの、ごめんなさい、忙しいかなって思ったんだけど、でも」
「……あー、今何時……」
「そっちは夜の０時だと思う」
「マジか」
はは、って小さく下を向いて笑った部長が、マイクさんに英語で何か言っている。
マイクさんの笑い声と、「ジャネ、A〜」って声にマイクさんがその部屋を出たんだと分かった。
「マイクさん、いいんですか」
「え、何で名前知ってんの」
「さっきマイクさんが出てくれて、少し話して」
「あぁ、日本語うまいだろ、Aでも話せるよな」
「もう……」
あれ、いつも通りだ。
さっき感じた怖さはない。
なのに、何だろうこの違和感。
「あの、LINE……」
「あ、ごめん返信してなかった。今日仕事のあと飲みいこうってなって。んで、終わったあと俺の部屋でマイクと飲んでた」
そう言われて気付いた。
映ってるの部長の部屋だ。
「楽しそう、」
「そうか？Aたちの方が楽しそうだったよ」
「……」
少しの言葉のトゲ。
少しずつ少しずつ、違和感が頭を出してくる。
「あの、私言わなきゃならないことが」
「あ、マイクは俺の直近の部下っつぅかさ。時々こうやって二人で飲んでんの」
「……そうなんですか」
「あぁ、いいやつだっただろ？」
部長おかしいよ。
前酔っぱらった時は、私に「離れるの寂しい」って言ってくれたじゃん。
本音を話してくれたじゃん。
きっと今日もお酒たくさん飲んだんでしょう？
どうして、さっきから私の目を見ないの？
「部長、」
それは、咄嗟に口から出た言葉。
二人で居る時は「櫻井さん」って言う。
部長のお願いなのに。
「何だよ」
「え」
「A、何だよ」
あ、そうか、松本さんの言っていたことって本当にそうだったんだ。
こんなにも、それはつらくて。
離れているからこそ、お互いが一番でなければいけなかったのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cori(プロフ) - Yuriさん» いつもありがとうございます！そろそろ帰国してほしいなーと思ってます笑 次移行しますのでもう暫くお待ちください！ (2019年6月4日 7時) (
レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri - いつも楽しく読ませていただいています！翔くんが帰国するお話が気になります！更新、待ってます！ (2019年6月4日 4時) (レス) id: d785c31dd6 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - kaz2nsariさん» はじめまして、コメントありがとうございます！ニヤニヤしていただけたとのこと、とっても嬉しいです…！早く帰ってきてもらわないと、まだ書きたいことたくさんあるので…！また覗きに来てくださいね〜！ (2019年5月28日 0時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
kaz2nsari(プロフ) - はじめまして！読ませていただきましたが、終始ニヤニヤが止まりませんでした！！翔くんがNYから帰ってきたあとのお話が気になります！！ドキドキ。。 (2019年5月27日 19時) (レス) id: f127e1252b (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - きみきみさん» こちらにもコメントありがとうございます！名前呼びをしてみました。仕事以外で部長と呼ぶとすこぶる怒ります笑 いつかのニノさんで言ってたことを言わせてみました。絶対履いてると思います笑 また来てくださいね！ (2019年5月22日 17時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cori
| 作成日時：2019年3月26日 19時
