＊ ページ36
カーステレオからは、20年くらい前のCDが売れていた時代の曲が流れている。
いつも少しブラックなミュージックが流れているのに、今日は違うみたいだ。
「わ、懐かしいこの歌」
「聴いてた？」
少しポップな曲。
「父が確か好きで。小学生の頃かなぁ」
「小学生」
「？」
「俺もう高校だったわ」
「高校生……」
「そう考えると、結構歳の差があるんだよな」
「高校生の翔くん……」
「と、黄色い通学帽被ったA」
「犯罪だ」
「やめろ」
片手でハンドルを回しながら、ブハッと笑ってる。
自分から言った癖に。
「会社で社会人として会えて良かったです」
「ん？」
「だって、例えば翔くんが近所のお兄ちゃんだったら、幼馴染とかだったら」
「うん」
「私は好きになってても、翔くんは私の事好きになってくれなかったと思います」
「……どういうこと？」
「そんな小さい頃から知ってたら、きっと私に恋愛感情なんて持ってくれなかったと思う」
「なるほどね」
そうだよ。
そんな黄色い通学帽被ってランドセルも背負ってる私を、高校生の部長は好きになるはずない。
可愛がってる妹ポジションになるのが関の山だろう。
「言いたい事は分かる」
「でしょう？良かった、社会人になって出会……」
「でも、それはそれで俺は悩んでただろうな」
「えっ？」
「小さい妹レベルに想ってた可愛いAがさ、どんどん大人になっていって。あれ、おかしいぞ、何で俺は妹のはずのAを見てドキドキしてんだ？相手はAだぞ？って」
「へ」
「それで俺はおかしいんだ、ってその気持ちを閉じ込めてたかもな」
「翔くん」
「多分さ、どんな形で出会っててもいつかは好きになってたと思うんだよ」
部長が、キッとブレーキをかけた。
赤信号。
何処に向かっているかはまだ教えてもらってない。
「ただ、結果として、社会人になって出会って良かったとは言えるかもしれないけど、それでも俺はタイミングを一度逃してはいるし」
「……」
「本当は、Aは相葉さんと歩むもう一つのルートが用意されてた訳で」
「……」
「分かんねぇよ、人生なんてさ。今までもそうだったけど、これからも」
曲が変わった。
名曲が多い男性デュオのラブソング。
「……でも一つ言えるのは」
「はい」
「この曲の歌詞みたいに、俺はこれからもAを抱きしめる度、好きになってくと思うんだよ」
「え」
「ってのを毎日実感しています」
部長がこちらを見て口角をあげた。
優しい、愛おしいものを見る目で。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3090人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - こんにちは。読ませてもらいました。甘甘翔くん大好物です。大好き (2021年10月30日 16時) (
レス) @page49 id: cc7865b69e (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - emさん» ありがとうございます。私もこんな職場憧れます…！夢が詰まってます笑 また少しずつ戻ってこようと思います。またよろしくお願いします！ (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - ミントモモさん» ありがとうございます。少しずつですが戻ってくる予定です！またよろしくお願いします！ (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
cori(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます。少しづつですが戻ってこようと思います！また、他の作品も読んでいただけると嬉しいです(^^) (2020年9月15日 5時) (レス) id: d86fdce482 (このIDを非表示/違反報告)
まよゆり(プロフ) - 懐かしい面々が出てきて、楽しかった。ニノのスーツの値段！あの数字だけが、探せなかったあの時…笑。お、おう、と押され気味に返事するニノ。マキちゃんらしいプロポーズ。可愛い2人。短編ゆっくり待ってるね。 (2020年8月31日 20時) (レス) id: cd6d41f823 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cori
| 作成日時：2019年9月7日 18時
