110話 ページ20
「Aさん!なんで言ってくれなかったんすか」
『えっとカズ
ここ病院だから
ミツバさんと総悟のシリアスシーンがあっちで行われてるんだよ
もうちょっと静かにしてて
後で話してあげるから』
と頭にも腕にも包帯を巻いているAが手をぶらぶらとさせ早口でそう言う
「分かりましたよ」
とムスッとしながらミツバと総悟を見るカズ
その目はとても寂しく悲しいものだった
『……カズ』
「友達のお姉さんでも俺にとってはもう大事な人だったんすよ
たとえ1回しか会ってなくてもこれから仲良くなりたかった」
『そうだね』
とその日は暗い雰囲気に包まれた
「それにしても最近元気な総悟見てないですね」
『だねー』
と何か書きながら適当に返事をするA
「聞いてます?って何書いてるんですか?」
『手紙』
「誰にですか?」
『ミツバさん』
「……俺も書きます」
『そう?』
と2人でミツバに向けて手紙を綴る
書き終わるとAはその場を立ち封筒に自分の分とカズの分を入れる
「それどうするんですか?」
『ミツバさんに届けるの』
と言い燃やし始める
『僕ね昔大切な人達を亡くした時にある人が言ってくれたんだ
空から見守ってくれてるって
だからこうして手紙をかいて灰にして空に届けるんだ』
と言い灰をフーっと空に向けて吹き風で上に上に飛んでいく
その様子を見ながら
「そうだったんですね」
と言いしばらく空を見ている2人
「2人とも何してたんですかぃ」
『ミツバさんに手紙を』
「姉上にですか」
『うん、総悟もする?』
「……しやす」
とくるりと自分の部屋へと戻っていき手紙を書き始める
数分すると部屋から出てきた総悟がAに手渡しスッキリしたような顔でその場を立ち去る
『ミツバさん
貴方の弟さんは僕に任せて
僕は貴方の友達でもあるから』
と言いながら燃やし灰を先程と同じように空に飛ばす
その灰はさっきよりも高く舞った
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作者名:唯 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2020年6月3日 21時