5.少し昔話 ページ5
「1本っ」
「Aちゃん何連勝目だ?21か?」
「おじさん23です」
「そーかそーか。うんうん勲も、総悟も、十四郎も、Aちゃんにはかなわなくなっちまったな」
近藤さんのお父さん(たしかおじさんってよんでた)は
嬉しそうに私の頭を撫でた
大きな大きな手で
私の頭をくしゃくしゃにした
近藤さんと同じ暖かくて優しい手。
「はい。ご褒美。お母さんとお父さんに見せてあげなさい」
その日のおやつのお饅頭を胸に抱いて、深々と頭を下げる。
「おじさん。お手合わせありがとうございました」
.
.
道場から出て私は
畑を一つ民家を二つ超えた先のお墓に来て
すぐに一条の名前の石の前にかがんだ
「今日で23勝目、また連勝記録を塗り替えました
私は強いから安心してください」
お父さんとお母さんは小さい時に流行り病で失ってから元々通ってた近藤さんの道場に引き取られ
それからはここに通うのが毎日の日課となっていた
手を合わせ近況報告をしてる時に
足を引きずりながらかったるそうに歩いてきた奴……
沖田総悟は気だるげに手を挙げた
「おーいたいた。夕飯うちで食えって姉上が」
「総悟、迎えに来てくれたの?」
「てめーがトロくてどんくせぇからだろ」
親がいなくても寂しいと思ったことはあっただろうか
よく覚えてないが、覚えてないということは大したことはなかったのかな。
私の周りには沖田姉弟、十四郎、近藤さん、道場のみんな沢山の人がいてくれた。
なににしろ今の自分こそ昔より寂しい人間だと感じるのはなぜだろう。
周りの人は変わらず暖かいのに
私の中身は空っぽで冷たくて虚しい。
ひどく寂しい人間になってしまった。
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愛総(プロフ) - 琉貴さん» 大分古いですが笑っていただけたのなら何よりです!本当にコメントありがとうございます!これからもよろしくお願いします (2015年7月27日 22時) (レス) id: ccfe5e1148 (このIDを非表示/違反報告)
琉貴(プロフ) - ドラゲナイで吹きましたw (2015年7月27日 19時) (レス) id: 12055e6034 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛総 | 作成日時:2015年2月18日 22時