影の恋は偽りの愛【沖田総悟】

40.外ヅラ好青年 ページ40

料亭はいかにもな佇まいで


入り口には

山澤家

入江家と書いてある




入江家は今回協力してくれた口が硬い商人らしい。
協力を名乗り出てくれたという希少な親切タイプの金持ちだ。




「部屋はどこかしら」


「入江家の方ですか？」


周りを見渡してたところに女中さんが、パタパタと走ってきた



「山澤様がお待ちです」


「え、、、まだ一時間前ですよ？」

「そうなんですが、先ほどいらしてお待ちになってます」



困った予定が大狂いだ。


「お嬢様、とりあえず行きましょう」



”仕方ねぇこのまま行き当たりばったりでやるしかねぇだろ”


後ろからそんな耳打ちが来て
声をあげたくなるのをなんとかこらえて
前準備一つもせずに孔雀の間へと通された。




「失礼します。入江Aです。今日はどうぞお願いします」





「入江さん！お早いですね。山澤博之と申します」


「緊張して早くきてしまいました、ヒロユキさんでいいですか？」



いつもの仕事スマイルで笑いかければ思い通り相手は顔が緩む。





「やぁ、写真の通り美しいお方だ」



こっちの希望で立会人はつけないことになっているから総悟は部屋の外で待機



相手も一人だ
こんなボンボンくらい武器がなくてもなんとかなる。




「あ、そうだ。今日は来ていただいて。お礼というにはあれですが、行き道にAさんに似合いそうな花があったので」




おぉ、爽やか。
どっかのドS野郎とは違って花を持つ姿が様になる。




「まぁ。綺麗なお花。ありがたいです」




まさか攘夷志士と繋がってるとは誰も思ってないんだろうな。

普通に好青年だ。


どこか胡散臭いのは私が仕事できているからだろうか。

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