*5 ページ37
「沖田さんっ!!!!」
「おい止血急げ!輸血はまだか?」
私がいくら大きな声をあげても周りを忙しく動く医師たちには聞こえないどころか、たった1人聞こえる沖田さんも今は返事もしてくれません。
少しばかり耳がいいので扉の外の会話が聞こえます。
「副長を庇ったらしい」
「いつもは喧嘩ばっかりなのにな」
「で、当の副長は?」
「処置室で怪我くっつけてるよ」
「結構な被害だな、、、まさか沖田隊長が」
「局長は?」
「窓口で本人確認と手続きしてる」
急な市内テロ、攘夷志士たちの爆弾予告。相手方はかなりの人数だったらしく準備の整わなかった真選組は甚大な被害を出しながらグループを制圧。市井の平和は守られたわけですが、土方さん沖田さんをはじめとした十数名の怪我、他数名の隊士さんが命を落とされた。明日の新聞には功績を褒め称える記事が載って欲しいものです。
「沖田さん私嫌ですからね、あなたに髪の毛渡すの。長いほうが好きっておっしゃってたじゃないですか」
神様は荒げず、乱さずというのはどこへやら
ここ何千年と出していない大声がとどいたのか……
「一命は取り留めました。あとはご本人様の頑張り次第です」
医師は沖田さんが見ていたテレビドラマと同じセリフを近藤さんをはじめとした隊士の皆さんに告げる。
「こいつが目覚めなかったら俺はミツバのやつになんて顔向けすれば」
「そんな顔するなトシ!あいつのことだふて寝こいてるだけだよ。しかも総悟は神なんざ信じてねぇとか言いながら毎日A様に手を合わせてるんだA様がきっと見守ってるさ」
ミツバさん、、、あの時と同じ私には怪我を直す力も病気を直す力もない。
ただ信じるしかできません。
屯所に帰る気にはなれませんから、勝手にベッドに腰掛けて勝手に話しかけます。
「沖田さん。まるで聞こえてないなんて今までは当たり前のことだったのに。あなたが中途半端にお返事くださるから、話し相手がいないと寂しいです」
沖田さん。沖田さん。
呼びかけてもうなだれてる近藤さんには聞こえない。
火すら付いてないタバコをくわえてる土方さんにも聞こえない。
「沖田さん。神様を独り占めなんて本当に罰当たりですよ」
124人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミユ(プロフ) - パスワードを教えてほしいです! (2018年8月13日 1時) (レス) id: 9c5031f758 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛総 | 作成日時:2017年8月18日 3時