君がかけた最後の呪い【沖田総悟】

追憶の文 ページ39

封筒には、切手も住所もない。
夕日の絵の中に、沖田総悟様という字だけが浮かんでいる。


少し手が震える。
息が詰まる感覚。




「総悟へ


どうやら思い出しちゃったみたいですね。

この手紙を総悟が読むのがいつなのかわからないので時節の候は省略します。(今は秋だから秋の挨拶をつけるべき？)


手紙を書くのはあの告白の返事以来ですね。

私はもうすぐ死ぬでしょう。
きっと総悟は泣きながら私のことを見送ってくれる。

どう？当たってた？

死んでからどのくらい経ってこれを読んでるんだろう。

読んでない可能性の方が高いから好き勝手書こうと思うけど、今これを開いてるってことは読んでるってことで、ってまぁいいか。本題に入ります。



こっそり忘却薬を飲ませてごめんなさい。
忘れない限り人は死なないと言いますが、それでもあなたに辛い思いをさせるくらいなら、私は忘れて欲しかったのです。


あなたに愛されていた自信があったから、飲ませれば私は消えられる確証があったのです。

私を愛してくれてありがとう。愛されている事を分からせてくれて有り難う。


総悟が思い出した事が心配な反面、自分で飲ませたのに思い出してくれちゃったことが少し嬉しいです。


あの時総悟から薬を渡されて。私は「わかった」って言ったけど、いざと言うときは全然飲まないつもりでした。

だから総悟に真っ向から頼んでもきっと飲まないだろうと思ってました。
それに、本当は忘れて欲しくないって気持ちも少し。

でも、ふと伝えたあの言葉を思い出したのです。
「私がいなくなってもきっと長生きして幸せになって」と。あの時死ぬ気なんてさらさらなかったから。

それでも総悟がすごく暗い顔をしていたのを死ぬ間際になって思い出してしまいました。


もう一本万事屋さんに見つけて欲しいと頼んであります。
思い出した今、やっぱり思い出さなきゃよかったと思ったからそれを飲んでください。

それを飲んだ時には総悟が思い出すきっかけになったことを全て廃棄してくださいと万事屋さんにお願いしてあります。


とにかく。21年という短い人生でしたが、6歳で君達に出会い、そして恋人にまでなれてしまったこと。

私はとっても幸せでした。

最後に、私のことを忘れちゃうほど愛してくれてありがとう。それこそが私の生きた証です。

そして狡いけどやっぱりこの言葉を。

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書き終えてペンを置いた。途中取り止めもなく書いてしまったけど、どうせ読まれない可能性の方が高いんだからまぁいい。



「あーぁ結局呪いかけちゃったな」



これは私が死ぬ1日前の話

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