君がかけた最後の呪い【沖田総悟】

永遠の問い、その解 ページ36

「あと、もし思い出しちゃったら。これを渡しておいてください」


Aは封筒を１つ、銀時に手渡した。
表には綺麗な字で"沖田総悟様"とある。


「思い出せるもんなの？忘却薬のんでも」


「思い出すのは難しいらしいです。でも、もしかしたら忘れないかもしれません」


忘却薬の効果は、飲んだ人の1番辛い記憶を1、2ヶ月ほどで消してしまうという物。つまり


「私の死は1番じゃないかも知れないですから」


「その時用の手紙は渡さなくて良いのか？」


「総悟が忘れてくれる事を信じられる事、それこそが私の愛で、彼からもらった愛情なんです。
私が1番愛しいなら、私のことを忘れてくれる。もし、そうじゃ無いなら。まぁミツバとかの事かな？」


"愛されなかったということは、生かなかったということと同義である"


だからこれは答え。
Aなりに愛されたという事を確認するための途中式。


「でも、私はその答えを知らないで死ぬんです。それって少し狡いけどラッキーでもありますよね。きっと忘れてくれる、信じて死にます」



__その時、私は生きたという事だから___



「当て逃げかよ」


「嫌な言い方しないでくださいよ」


.


.


.


「ま、んなわけで沖田くんはまんまと忘れて。俺たちは2人の我儘の間でてんやわんやってわけ。これがその封筒。沖田くんに渡しておいて」


「こっちの瓶は？」


「新しい忘却薬だよ。今朝やっと手に入った」


読めばわかる。銀時はクマを携えた目を擦りながらぶっきらぼうに言い放った。


「そういや、万事屋。まだお前の答えを聞いてなかった」


「あぁ？俺の答え？_______________」


それから仲良しでもない2人は大した雑談をすることもなく。土方も礼だけ告げて帰っていった。


「銀さんらしい答えですけど、聞く人が聞いたらAさんのこと蔑ろにしているように感じますよ」


「あいつらならわかるから良いんだよ」




_____俺の答え？最後は生きてるやつが決めりゃあ良いだろ。死んじまった奴ァ答えちゃくれねぇよ




「トシも納得した顔アル」


「まぁ、そうですよね。残されたあの人たちが、沖田さんが決める事ですね」


「きっとそれがあのシティーガールが1番望んでる事だからな」



一仕事終わった後のいちご牛乳をズルズル音立て、銀時は天井を見上げる。



「ま、答えてくれねーと分かっちゃいるが聞きたくなるのが人間だがな。Aちゃーーーんなんでこんな大役俺にやらせたんだよぉ〜」


「カッコつけたくせにみっともないネ。この間までウジウジ悩んでた事も無かったことにしてたアル」

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