血の雨が降る ページ27
「真選組最強剣士沖田総悟」
「大手凶悪組織のトップに知られてるたァ光栄でィ」
男から聞いたアジトは本物だった。
入口の護衛達の血で既に沖田は血まみれだ。
そして遂に縛り上げたその男は状況に驚きもせず大きな態度をとっている。
「その様子だと、生物兵器の実験はうまくいったらしい」
くつくつと満足気に笑う様子は沖田をおちょくって楽しんでるらしい。
「てめェ……とりあえず腕一本いくかィ」
「あぁ最初に言っておくよ。解毒薬はない。鼻からそんなもの無いんだ。いや、作れなかった?かな」
「は?」
「中々解毒薬を作るのは手こずってね。それで結局アレを作り出した科学者は、君たちが2回目の捕物で斬り捨てたよ。ははっ皮肉だね」
これ以上自分を冷静にとどめておけなかった。次の瞬間には目の前でペラペラ回っていた口は静かになった。
意図せず沖田は1つの攘夷組織を粛清したわけだが、そんなことはどうでもよかった。報告する気も起きない。
明日になれば山崎が張り込んでたやつからバレて沖田はこっぴどく説教されることだろう。
そんなことはどうでもいい。
手段が何もない。本当にAを助けられるものが何も。
「……くっそ。俺が側に置いときたいなんて思わなけりゃ。手放してやれてりゃ……」
沖田の手は血で汚れている。
こんな風に誰かを切り刻んでも何も感じない。
自分が血まみれになっても、早く風呂に入ろうとしか思わない。
自分がこんな人間だから姉上は早く死んでしまったのだろうか。
奪う命と奪われる命の総量は合わせられるのだろうか。
だからAまでも奪われてしまうのか。
わかってた。自分が人と添い遂げられるような人生を歩んで無いことくらい。
それでもAの事を手放せなかった。
「病院……」
自分が血まみれな事も忘れて病院へ足が向く。
見た目が見た目なもんで病院の受付から悲鳴。
「手当てを!!」という声がかかるが沖田は怪我なんかしていない。
「見舞いに。Aってどの部屋に」
「え!?あ、その方でしたら、ケアターミナルの方に転院されましたよ」
______あぁ自分はどれだけAの事を不安にさせて、1人にして、挙句に何も持って来られなかった。無力感で力が抜けそうだ
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hiyo*(プロフ) - 本当に神作品をありがとうございました。何度も読み返させてもらいます。題名から、慈愛系かなと想像はしてたのですが、想像を超えるお話で気づいたら最後まで読んでしまっていました。それほどには神作品です。本当に神作品をありがとうございました (3月22日 13時) (レス) id: 265fdb21ce (このIDを非表示/違反報告)
hiyo*(プロフ) - 沖田推しで夢小説を最近よく読んでいるのですが、こんなに夢小説で泣いたのは初めてでした。今まで小説で泣いたりすることがなく、初めての体験でした。物語が良くできていて、この先読み返した時に多分物語を知っていても尚、泣いてしまうと思います。 (3月22日 13時) (レス) @page41 id: 265fdb21ce (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 最近沖田推しになり夢小説を読むようになり、このお話に辿り着きました。読むのは2度目ですが前回と同様ボロボロに泣きました とても素敵な2人の愛の物語をありがとうございます、本当にこの物語が好きでたまりません この先も泣きながら読ませてもらいます、 (3月1日 20時) (レス) @page41 id: 7f16a763e6 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 夜空さん» コメント本当にありがとうございます。とても勿体無いお言葉を頂けて、書いてよかったと思わせて頂きました。こちらこそ本当に有り難う御座います。 (2023年1月29日 22時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - 読んで、読み終わって、馬鹿みたいに泣きました。どこまでも素敵で綺麗な、愛の話でした。素敵な物語を、本当に本当にありがとうございます。 (2023年1月13日 1時) (レス) @page41 id: 2ceb4af9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2021年10月23日 23時