君がかけた最後の呪い【沖田総悟】

真選組の罪 ページ23

約束の事も忘れかけていた頃、俺は身を置いている環境を、Aにかけている負担を思い知らされた。


1年と3ヶ月前。
例年以上の暑さなんて毎年聞いている気がするそんな夏の日。


21歳にもなって俺たちはあと数ヶ月で付き合って2年という頃だった。


「まーた結構手こずりやしたね。これで何回目でさァ」

「もう、4回目だ。大分減ったがまた2人か3人くらい取り逃した」


過激攘夷党のとある一派を数ヶ月かけて追っては逃げてを繰り返していた。
すばしっこい奴らで未だに全体像も掴めてない。

「山崎の仕事がまた増えたっつーことですねィ」


真選組は暑すぎるジャケットを肩に掛けて撤退の準備を進めている所だった。
御用も4回目ということで気合入れて人数を揃えてきただけあってこちらの負傷者はいない。


つまり、屯所は間抜けの空だった。


「撤収〜」

「あーい」

うだる暑さに気の抜けた返事をする面々はパトカーの中なら涼しいとそそくさと帰り路に着く。

そして、俺と土方さんの車が真っ先に屯所についてその光景を1番にみた。


「は……？」


一瞬状況を理解できずに立ち尽くしてしまう。
中庭のシーツ。
洗濯されて本来なら風にはためいているはずだったそれは真っ赤に染まっていた。


「Aッ！！！！！！」


後ろで土方さんが大声で隊士達に指示を出しているのは聞こえるが内容が理解できない。


見たところ刀傷、それなら慣れているから落ち着けば助けられる。

本当に？

原因は？

やったのは誰だ

すぐに止血を…

どうしてこうなった

犯人の追跡の指示を出さねェと……


脳内が埋め尽くされて上手く優先順位が判断できない。
シーツの赤はどんどん広がっていく一方で。同時に嫌な予感が頭を占めて行く。


まだ侵略されていないシーツを引きちぎって止血するが、傷が大きい。


当てた側からみるみる間に染まって行く。


「頼む……頼むっAっ！！」

.

.

.


「そうか……引き続き調査を頼む」


病院の待合室は嫌いだ。
どうしても、姉上の時のことを思い出す。


近藤さんも山崎も真っ青な顔をしていた。何やら電話していた土方も例外なく青い顔で口を開く。



「昼間に取り逃した浪士の1人の犯行だと思う。まだ行方は掴めてないが、屯所の池の水がほとんど抜けちまって底に時限式の爆弾が沈んでたそうだAが倒れる直前、池に放り込んだらしい。お陰で屯所は…」


「無理して動くから……血がとまらねェんだよ馬鹿…」


抑える手の隙間から命が流れ出して行くような血の感覚が消えない。

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