君がかけた最後の呪い【沖田総悟】

薄情な大人たち ページ13

16年前

当時6歳だった2人は武州の小さな村に住んでいた。
そして、ある日突然に出会った。


「お前、だれ。なんでそんなにボロボロなの？」


生まれついた時からAには両親はいなかった。可哀想に思った神社の老人が育てていたのだが、その恩人すらも去年老衰で亡くなってしまったのだ。

____廃れた神社の境内に座敷童が住んでいる____
子供たちの噂の正体が5.6歳の小さな女の子であることを村の大人たちは実は知っていた。
知っていて誰も彼女に手を差し伸べなかった。


「あっちいけよ。お前も私に石を投げるんでしょ」

「そんな弱っちい奴に石なんか投げてどうするんだよ」


沖田にも同年代の友達はいない。1人と1人が出会って2人になった瞬間だった。


どうせ投げる。
いや投げない。

一向に距離の縮まらない平行線の言い合いをしていたところに沖田を迎えにきたのがミツバだった。


「ふえた」

「あら、総ちゃん。お友達？」

「姉上！ともだちなんかじゃありません」

「仲良さそうなのに。お名前は？」


警戒して顔を背けたAにミツバは変わらずニコニコと笑いかけていると、くぅ〜と腹の虫の音。


「んー、今日はなんだか煮物を作りすぎちゃう気がする。どうしよう余ったら勿体ないし……私と弟の2人じゃ食べきれないし」

そのくらい食べれる、と言いたげな沖田少年も空気を読んで何も言わなかった。


「どこかに、食べてくれる子いないかしら」

「……そういうことなら。手伝ってあげる」

「よかった！じゃあ帰りましょ」


ミツバの計画にまんまとはまり、手を取られたAは初めて繋ぐ女の人の手の柔らかさにびっくりして振り解くことができなかった。

大人の手はシッシと追い払う為にある。

大人の手は「あら汚い」とつぶやく口を隠す為にある。


そんなAの考えを変えたのは若干15歳で立派に家事をこなすミツバの優しい手だった。

.

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「あ！A10まで数えないとダメなんだぞ！」

「ミツバぁあおふろでたぁ」

「あらあら、おいで拭いてあげる」

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「そうご……トイレ」

「お前さぁ、ほんとに1人で暮らしてたの？」

「ねぇ、いる？？」

「いるから早くして」


それ以降すっかり家族の様に暮らし始めたAは沖田が道場に通い始めたのを機にミツバ以外の大人とも交流を持つ様になった。


野良猫の様な刺々しさはどこはやら。
絆されて明るくなったAと沖田は時に兄妹の様に、時に親友として歳を重ねていった。


沖田達が武州を立つその時までは

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