真選組血風帳弍【沖田総悟】 (ページ1)

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第49訓後ろめたし冬の夜はページ1

「よく私の指のサイズわかったね」

「とりあえず一般サイズ買えばどっかの指には入るだろって。それでもダメなら変えてくれるらしーぜィ」

カニを頬張りながら俺の種明かしに「ロマンチックじゃない」などと文句を垂れてはいるが顔は未だに嬉しそうだ。

「真選組は金欠だってのに私達だけ贅沢しちゃった」

「これぁ使い道なかった給料なんだから文句言われる筋合いねぇよ」

「えへへまぁそうだよね。あれだねこう言う所に来るとお主も悪よのぉって言いたくなるね」

「お代官様ほどでは」

どうやらお互い少し酔ってきたらしい目元からほんのり赤くなるAの顔を見てると心音が早くなる。

早く帰って気が済むまで泣かせたい気持ちと、もう少しゆっくり楽しみたい気持ちが入り乱れる。

そんな葛藤と共に2人の酒はどんどん進み、デザートまで終わって店を出た。雪は少ししか降らなかったらしい今は止んですっかり冷え込んでる。

「ふーーご馳走様でした。私払うのに」

「いいんでィ格好つけさせろ」

完全に回ってきたのかスキップでもしそうなAがいなくならないようにしっかり手を掴む。
ご機嫌な酔っ払いは荷物一つも持ちやしない。自分の巾着ですら俺に持たせてる。

そろそろ保護者どものお叱りを受ける時間だし帰ろうかとAの方を見るが……

「もう一件行くかィ」

「うん！まだ帰りたく無い」

普通の18歳のデートならキラーフレーズだが帰る先が同じ俺にとってはある意味の生殺し。
まぁその顔が見れるなら悪くない。

「お、別嬪さんどうだい一杯」

「屋台！冬は屋台だよねぇ」

通りの中腹に昼ははなかったおでんの屋台。気の良さそうな店主の前に座って30分で

「ありゃあ彼女さんもしかして結構飲んでた？」

「普段はもうちと強いはずなんですけどねィ」

徳利を握りしめたまま机に突っ伏してる。
歩き回って疲れたのだろうか。

先ほど買った自分のマフラーを申し訳程度にかけてやると存外酒のおかげか寒く無い。

「兄ちゃんどうする？まだ飲めそうだが」

「んじゃあと2合だけいただきやす」

しばらくおじさんと話した後風邪をひかせるわけにはいかないと帰路についた。

「ったく、外で潰れるほど飲むんじゃねぇよ」

ただでさえ大荷物なのに、何度揺すっても起きないでかい荷物まで背負う始末。
しかも館まではなかなかの距離があるときた。

「そーご…ごめんね」

「謝るくらいなら自分で歩け」

返事がないどうやら寝言らしい。

肩のあたりが暖かくしとどになって、寝てるはずのAが泣いている事に気がついた。