第46訓 最初に買い物すると荷物増えるけど後回しにすると大体忘れる ページ47
繋いだ手を羽織のポケットに手を入れると2人の距離は自然と近くなった。
「ちょっと遠かったね」
「運動不足解消にはいい距離でィ。Aの」
「太ったって言いたいわけ??」
佐々木家の別邸に来てからと言うというもの掃除しかしてないため少し図星だった。図星だからこそ眉間に筋を立てて怒っている。道中ずっとこの調子で沖田はAを怒らせてはその様子を見てケラケラと笑っていた。
「買い物行きてぇって言ってたが何を買いにきたんでィ」
「んー店見つけたら言う」
「そ」
田舎とはいえこの一帯ではメインの街なのだろう。店が立ち並ぶ通りにはそこそこ若い人も多い。沖田もAへのプレゼントは歩きながら考える事にした。
「あ、明日のお茶菓子あいつらにお土産買ってやろっと」
手を繋いでいる事を忘れてるのか急に方向転換したAに羽織のポッケで引きづられる様に沖田達がくぐったのは和菓子屋だった。小さい店だが手の込んだ色とりどりの茶菓子が並んでいる。
「秋山さんはこれが好きだし、若瀬はしょっぱいものがいいよね」
一人一人の好みを把握してる事に沖田は感心しながらどんどん放り込まれて重くなっていくかごを奪う。
自然な所作に珍しく荷物を持ってやる沖田には気がついていないようだ。
「全部買うのかよ」
「うん全員分あればいっぱい味見できるし」
「さらに肥える気かてめぇは」
憎まれ口を叩きながら、少し誇らしい気持ちだった。自分とは違ってこんなにも隊士のことを思いやれるのが自分の彼女であり、自分の部下である事に。それがAの弱さでもあるが。
「ふぅ流石に全員分ともなると。あ、ごめんかご持たせてたんだ」
いつのまにか離れていた手にも気がつかず夢中で和菓子を選んでいた姿はただの18歳の女の子だ。
「おばちゃんお会計」
「いっぱい買ってくれてありがとねぇ。見ない顔だけど観光かい?」
「親戚の家に世話になってるんです」
「お嬢ちゃん女の子なのにお侍さん?」
「旧家の出なのでお飾りですよ」
「(息する様に嘘つきやがって)」
最初から決めてたのか店主に嘘をつきながら出された財布は沖田同様分厚い。Aも買い物する気で多めに持ってきたのだろう。
「まいどあり」
まだ街に着いて数分だと言うのに早くも大荷物になってしまった。
「荷物持ってくれるなんて何の風の吹き回し」
「たまには機嫌も取らねーとな」
「くるしゅうないくるしゅうない」
満足気なAの右手は再び沖田の左ポケットに収まっていた。
第47訓 お母さんの小言とルールは何故か破りたくなる→←第45訓 家を出る時はあんまり出たく無いけどいざ出ると帰りたく無い
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愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます!誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです! (2月11日 2時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか? (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんばんは!コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています!(シリーズ一覧からご覧ください)その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか?急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます!一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2017年12月28日 2時