第42訓 黄昏てるやつって本当に何か考えてる？ ページ43
落ちる葉の数も減り、秋も終わりに近いのだろう。やかましかった虫の声も無く、風に舞う葉の音だけがする。
Aが熊手で集めた落ち葉の山は上部からサラサラと風に攫われてまた散っていた。
「江戸を出て2か月か」
少し気温は低いがそれでも暖かい日向に寝そべる沖田は誰に届けるでも無くボソリと呟いた。
掃除も終わってしまい会議もない夕方。言うなれば暇だ。
「A」
中庭に2人。少し距離がある恋人にも確実に届く声で呼びかけたそれは耳に入らなかったらしい。自由にさせている髪が風に踊るままの横顔はこちらを向かない。
「てめぇ無視するたぁいい度胸じゃねぇか」
悪態をついたところでAはこちらを向かなかった。
傾き始めた日を眺めている横顔は4、5歳先に居る様な憂いを帯びている。そのまま秋風に攫われそうな彼女に焦燥を感じて沖田は軽く飛び起きて目の前に立ちはだかった。
「おい」
「あぁ、ごめん。どした？」
「何回呼んだと思ってんでィこの駄犬が」
その実2回しか声をかけてないがそんなことにAは気がつかず「ごめんごめん」と手軽な謝罪を口にする。そんな様ですら頭にきて
「っんぅ」
見つかるはずもない何かを探る様に沖田は口を合わせた。中庭に冷たい風が吹き抜ける。
「っは、謝ったじゃんおこってんの？」
「何黄昏てんでィ」
「ボーっとするくらいの権利あるよね！？」
「ねぇよ」
「はぁ？喧嘩？」
先ほどとは打って変わって片眉をひくつかせてるA元よりのらりくらりと手からすり抜けそうな彼女であったが、何故か今日は嫌に儚げに落ち葉に巻かれていた。
「儚げとか似合わねェ癖に黄昏やがって何考えてたんでィ白状しろ」
「えぇ……頭の中まで束縛してくるとかそこまで独占欲強いと引くわ…」
「おめぇの脳天から足の先まで俺のもんだろ」
あまりの暴論に呆れて数秒間Aの口はポカンと開いていた。北風と共にため息をつくとAはそれを動かし始めた。
「大好きな秋が終わるなって思ってただけだよ！満足！？」
確かに秋はAの好きな季節だ。
それは沖田も知っていたがこのざわつきは第六感としか言いようがない。
「お前どこか行くのか」
「文脈大丈夫そ？行くとこなんかないんですけど。追い払えるなら追い払ってみなって話だわ」
少しふざけつつ呆れた果てた様に眉をひそめる顔に沖田は真剣な眼差しで返す。
「だから！どこにもいかないって」
返答が思いつかなかったのか沖田は不機嫌なまま元のひだまりに戻った。Aの「多分ね」という言葉を聞き逃していたことには気がつかず。
第43訓 知らぬが仏とはいえ全く知らなければ知りたくもならない→←第41訓 オカンがつけてる家計簿ザックリしてて帳尻合わない
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愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます！誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです！ (2月11日 2時) (
レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか？ (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» こんばんは！コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています！（シリーズ一覧からご覧ください）その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´･∀･)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか？急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます！一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛総 | 作者ホームページ：https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時：2017年12月28日 2時
