第32訓 それぞれの丑三つ時 ページ33
再び土方は佐々木家別邸三階の廊下を歩いていた。
まさか自分の隣の隣の部屋で妹が大人になっていたとは
事実を噛みしめるだけで足から力が抜けそうになる。
部屋に戻り真っ先に開けたのは為五郎の遺品であるアルバムだった。
パラパラとページをめくると幼き日のAが多く写っている。
Aが初めて口にした言葉は『にぃー』だったまだ存命だった母親でもなく。兄に手を伸ばし何度も呼んだのだ。
なんてことを思い出すとやはり力が抜けるような感覚に陥る。
マセガキに育ってしまったといえどまだ18されどもう18なのだ。
「あ゛ーーーーーくそ」
次第にAが大きくなるアルバムは最近の写真が増えて来る。兄が亡くなり姉からこれをもらった後は山崎が管理していた。
それもあって、かなり綺麗。
大方引越しの時に奴お得いのお節介で土方の荷物に入れたのだろう。
2人の中の良さは知っていたし、付き合い始めたことも察していた。
しかし、沖田と2人で写っているものを見るとやはり悲しくなるのだった。これを撮ったやつも、管理してた山崎も、まとめて切腹にしたいくらいだ。
振り払うようにアルバムを閉じてデスクに向かっても、あらぬ方に想像が行ってしまう。
「やめだやめ、寝よう」
馬糞のような味のするハズレ煙草を押し付け布団に潜り込んだ。
____時を同じくして悩みの元凶沖田の部屋
ピクリとも動かずベッドに沈み込んだAの頭にそっと手を乗せる。
沖田はことが上手く運んだ満足感と次もあるだろうなという安心感で寝顔を眺める。
長く一緒にいたのに
初めて見る顔
初めて知る体のほくろの位置、
初めてなのはAじゃなくて沖田の方だった。
(あー、くそ、思い出すだけで体が熱くなる。)
少し苦い顔をしながら沖田は頭を掻いた。
本来なら叩き起こしてもう一ラウンド始まっていたところだが痛がっていた顔が浮かんで、沖田は大人しく歯を磨き同じ布団に潜り込んだ。
そんじょそこいらの女を調教した時なんかと比にならない充足感の名前を沖田は知らない。
持て余す愛情をそっとキスに変えて、
長い1日が終わった。
第33訓 スパダリなんてそもそも顔がよくなきゃ成り立たない→←第31訓 可哀想な男
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愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます！誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです！ (2月11日 2時) (
レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか？ (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» こんばんは！コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています！（シリーズ一覧からご覧ください）その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´･∀･)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか？急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます！一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛総 | 作者ホームページ：https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時：2017年12月28日 2時
