第31訓 可哀想な男 ページ32
真選組副長土方十四郎。
真面目というには幾分気性が荒い男で、近年のキャラぶれが最も激しい男としても有名な彼は、いま、佐々木家の別邸三階の廊下を歩いていた。
江戸を出たこんな折にも彼にはやるべきことが山のように彼の机に並んでいる。
各方面への手回し、今後の身の振り方の考案、掃除当番の割り振り、領収書の確認エトセトラエトセトラ。
山積みの仕事をするうちに気がつけば日付を超えてしばらく経つ中、
彼はあることに気がついた。
今日の領収書が提出されていない
「ふっざけんじゃねぇぞ。叩き起こしてやる」
そうして買い物当番を叩き起こしたものの
沖田隊長に変われって言われたんです
と、無駄足を被ったのだった。
「ふっざけんじゃねぇぞ。ぜってぇ叩き起こしてやる」
先ほどと似たようなことを呟き
沖田の部屋の戸を勢いよく開けた。
「おい、総悟っ!……」
夜は真っ暗で寝る派の沖田の部屋にオレンジの光が付いていたことにまず違和感を感じ、
ベッドに目を向けた土方は言葉を失った。
「あれ、土方さんじゃねーですかィ。何の用で?こっちは事後の甘美な一杯楽しんでるっつーのに」
薄暗くてよくは見えなかったが、沖田の白い上半身だけがベッドボードに預けられその手には杯が乗っていた。
土方の推察は冴え渡る。
裸の沖田、壁側には誰かいるであろう膨らみ、
そして、
様子のおかしかった妹。
ここで余談だが土方はこの別邸においても帯刀を忘れない男で警戒心と武士の心はやはり人一倍あった。
余談終わり。
「死ねぇええええええ総悟ぉおっ!!」
「っぶねっ」
慌てて土方の刀を放られていた愛刀で受ける。
ベッドから手が届くところに置いておくのはやはり
沖田も警戒心が強いということなのだろう。
「土方さァん喧嘩してもいいんですがねィ。生憎なにも着てねぇんでさァ。あんたの妹にジュプジュプぶち込んでた俺の息子が風邪ひいちまう」
トドメの接吻ならずトドメの一言だった。土方は刀を鞘に収めると。顔も見えない愛妹の方をちらりとみやり部屋から出た。
「ありゃぁ立ち直れねーな」
トドメを刺した張本人であり、ことの元凶である沖田はくすくすと笑うと盃を一気に煽った。
第32訓 それぞれの丑三つ時→←第30訓 流した汗と涙は自信になるってちょっと変態にも聞こえる
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愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます!誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです! (2月11日 2時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか? (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんばんは!コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています!(シリーズ一覧からご覧ください)その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか?急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます!一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2017年12月28日 2時