真選組血風帳 壱【沖田総悟】

第27訓 落ち着いていきや〜 ページ28

「沖田隊長〜ひどいっすよー」


買い物を済ませて神山が追いついたのは佐々木家の森の中腹だった。



下げてる買い物袋の中を見るもやはり剃刀の刃はない。本当に誰かが刀で髭を剃る羽目になるな。


シュールすぎる光景を思い浮かべ笑いながらでかい門をくぐると何やら中庭から騒ぎ声が聞こえた。




「神山、袋俺の部屋に入れとけィ。中見たらさっき出来た切れ痔引き裂く」

「ヒィっィイわかりましたぁあアアアアア」



あれで意外と言う事を聞くタイプだから荷物は心配ないだろう。
そのまま手ぶらで中庭に向かう。


途中でバタバタと隊士たちとすれ違った。
ざっと4、5人


「うっす、沖田隊長」

「おー」


全てが1番隊の奴らっつーことは庭にいるのもうちの奴らか。

色々考察しながら足を踏み入れると騒動の中心にいたのは



「副隊長っ大丈夫ですか！」

「うぅ……最悪」


ビショビショな上に落ち葉まみれのAだった。


「なーにやってんでィテメェは」

「沖田隊長！」

「総悟……」

「はぁ、馬鹿だろ」

「う……落ち込んでるんだから追い討ちかけないで」



Aの顔についた落ち葉を取ろうとしていた隊士が一歩引き下がり代わりに俺が近づいてその葉をとる。



「これでも着ろ」

「濡れちゃうよ」

「いーから」



出かける時に引っ掛けてきた羽織を羽織らせて今度は頭についていた葉をとった。

冬も近いこんな季節に濡れたままで居れば間違いなく風邪をひく。


そんな事になれば今日の予定が大狂いだ。
そんなのは俺が困る。


「で？どーした」

「Aさん！タオルお持ちしましたっ」

「ありがとう」


Aがバスタオルで髪を拭き取り始めるとそばの隊士が代わりに口を開き始めた。

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