真選組血風帳 壱【沖田総悟】

第16訓 酒をきっかけにするのはやめておけ ページ17

「まぁ、女の子は大事にするに越したことはないぞ」

「よく言いやすね、嫁と子供置いてきたくせに」

「連れて来るわけにもいかねぇし、おれが来ないわけにもいかないだろ」




少し嫌味っぽい言い方も大きな口に笑い飛ばされて、大人とはこういうことかと思った。
こんなオヤジに憧れたくはないが



「いいんでさァ、調教つーのは長い目で見るのが肝心なんでィ。今までだって長かったんで、気長に待ちやすよ」



「気長に？沖田がか？それこそよくいうぜ。昔酔った勢いでキスして1週間口を聞いてもらえなかったのは誰だ？」


「あれは……若気の至りでさァ」


「宴会で、独占欲が先走ってAちゃんが子供の時にしてた言い間違いを隊士に言いふらした結果口を聞いてもらえなくなったのは」


「若気の至りでさァ」


「今も若いだろうがよ。まぁ兎に角だ。今日はAちゃんの部屋にはいかないことだな。酔った勢いで押し倒したなんて今度こそ絶交だぞ絶交」


「確かに」


飲む気分じゃないとか言っていたのにだんだん盃のペースが早くなっておっさんも出来上がっていた。


嫁と子供の話はよくなかっただろうか、

真選組のために置いてきたものを思い出させるなんて、無神経な言動はSの風上にも置けない面白みのない嫌がらせをしてしまった。



反して原田さんは気にしていない様子で口を開いた。



「それにしてもAちゃんも恋には疎いよなぁ。お前も苦労するな」

「そこなんでさァ。土方さんが虫除けしてきたお陰というか所為というか」


「あの人も大概過保護だよな。バラガキのくせに」


「懐かしいですねィその名前も」

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