第12訓 将軍だって光陰矢の如し ページ13
「元気出してください」
「余はどうにもあれの才能がないようじゃ」
「クレーンゲームの才能など将ちゃん様にはいりません」
私の小銭を全て使い果たして(松平公から預かっていたお金だが)お目当てのものを得られなかった茂茂公は子供のように拗ねていた。
それでも太鼓の玄人や、配管工カートなども楽しんですっかり市井を満喫したらしい。ダンスゲームに夢中になる茂茂公はなかなかに浮いていた。
私もしばらくぶりにゲームをしたので護衛ということも忘れて楽しんでしまった。
「あ、そうだ。こちら先程のプリクラです。私なんぞがお隣で恐縮ですが」
「こんなに目がでかくなるのか！どうりでそよの顔も違うと思うたぞ」
半分に分けたそれを私も大事にしまう。
同じように将軍様も紋所帳に挟まれて少し機嫌は治ったようだ。
「日も暮れてまいりました。お城に戻りましょう。それとも護衛をつけてキャバクラにでも参られますか？」
「はは今日はもう良い。久し振りに若いおなごを侍らせてはしゃぎ疲れた。帰ろうか」
私は預かっていた羽織を着せて差し上げて夕焼けの江戸をゆっくりと歩く。
「そよもAのように落ち着いた女子になってくれると助かるのだが」
「そよ姫様はあの真っ直ぐさがご長所であられます」
茂茂公の護衛よりはそよ姫様に着くことが多い私も今回の件で将軍という人がよくわかった気がした。
この兄にしてあの妹あり、だ。
国一番といっても過言ではない素敵な兄妹ではないか
「私は兄には将ちゃん様のようにおおらかになってほしいです」
「余では警察の副長は務まらんよ」
今日は何度も目にしたはにかみ顔が私は誇らしかった。
また行こう。
そういう将軍に静かに「喜んで」と返事をして他愛もない話をしながら人混みを進む。
私は死ぬまで忘れない。
あの人はいつも背筋を伸ばして歩いたこと。
二度と「また行こう」という約束は叶わなかったこと
「私はほんっとうに無念ですよ。将軍様」
"将軍ではない将ちゃんだ"
そう言うように簪が煌めいて。私は桐の箱を閉じる。
第13訓 恋の必須要素は好敵手→←第11訓 風習とか験とか決めた奴は大体神経質
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愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます！誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです！ (2月11日 2時) (
レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか？ (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» こんばんは！コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています！（シリーズ一覧からご覧ください）その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´･∀･)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか？急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます！一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛総 | 作者ホームページ：https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時：2017年12月28日 2時
