真選組血風帳 壱【沖田総悟】

第11訓 風習とか験とか決めた奴は大体神経質 ページ12

「それにしても、武士にとって椿は忌み嫌う花ではないのか」

なぜあの簪が気に入ったのか。そう茂茂公は尋ねて来た。



「じつは、『椿の花がポトリと落ちるのは首が落ちるようで良くない』というのは迷信で、潔さがいいと好んで庭に植える武家も多いらしいですよ。私はただ、このべったりとした赤が好きなだけですが」


「そうかそうか。縁起が悪いというのは間違いであったのか」


少し嘘をついた。椿は為五郎兄さんが好きだった。私を腕に抱き上げて花を近くで見せてくれたこともあった。


庭で一つ燃えるように赤い椿の花。

目の見えない兄さんに毎年咲くたびに私がその色や形を教えてあげていた。江戸に来てからも兄ちゃんは家に帰らないけど私は為五郎兄さんが恋しくて度々顔を出していた。


「優しい顔をするのだな」

「へ、」


突然声をかけられ茂茂公に意識を戻す


「先も簪の袋を抱いた時はおなごらしいなと思うたが今はまた違う顔をしておる。それほどまでに椿が好きなのだな」


「えぇ、思い出の花なんです」


「そうか。よいの。余もそよに花でもくれてやろう」


一つ疑問が生まれればすぐに尋ねそれが解決すると至極嬉しそうに笑う。



そんな風におおらかなで、人の上に立つにふさわしい人だった。




「つきましたよ将ちゃん様」

「おお！これがげーむせんたーか。そうじゃ！そよが教えてくれた『ぷりくら』というのをとろう」

犯人はそよ姫様か、、、どうせ神楽ちゃんの入れ知恵だろう。面倒ごとを毎度持ってきてくれるものだ。


「それなら多分こちらです」

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