第0訓 夕焼けは女が綺麗に見える ページ1
「涙は江戸には似合わねぇな」
近藤さんはそう言ってニカッと笑う。その顔の傷が痛々しい。
私たちは将軍を失った。江戸を守るために生まれた私たちが江戸を離れるこの時、
空には燃えるほどの夕焼けがあって、
私の燃えるほどのこの土地への思いを映してるようだった。
「寂しい、かも」
「また帰ってこれるさっ!それまで長い旅行に出るだけだ」
昔から変わらない大きな手が頭に乗れば決意は強くなる。私はこれを守るためにどこまでもついていくんだから。
「Aさん、いつもみたいに忘れ物してないです?」
「そうですよ副隊長すぐ忘れ物するんだから。ちゃんと携帯持ってきました?」
「うるさいなぁ母親か。私より総悟の心配してよ」
「隊長は手遅れです」
「それには激しく同意」
いつもならとっくに黒煙が上がってるところだがバズーカを打てる状況ではとてもなく、総悟はお前らあとで覚えとけよという言葉だけを飛ばした。
「一年一組うるせぇぞ」
「人の隊を学生扱いすんじゃねぇ土方。お前なんかチューリップ組で十分でさァ」
「誰がチューリップだ!そこはマヨネーズだろぉが」
「そんな気持ち悪りぃクラス寺子屋にはありやせん。あんたは子宮からやり直すべきですねェ」
「テメェこそ父親の玉袋からやり直してこい!!」
みんな寂しいんだね。いつも通りを保とうと努力する。近藤さんが笑う、隊士たちは慌てて二人を止めにはいる。
そうこれがいつも通り。
そしてさよならいつも通り。
「時間ですよ。近藤さん」
「そうだな。みんな……江戸に敬礼っ」
いってきますなんだから涙は要らない。
ただいまと言う日まですこし旅行に出るだけ。
再度点呼をとって、私たちは船に乗った。
続いた戦で少し減ってしまった数が心に沁みる。
「A本当に忘れ物ねぇだろうな」
「ないってば。総悟こそ大丈夫?」
「副隊長さんがいるから大丈夫だろ」
「変だねもう警察じゃないのに」
「奴らにとってお前はいつまでも副隊長なんでェ」
「ふふ、そうだね隊長さん」
やっぱりそれぞれ不安はあるみたいでみんな名残惜しそうに窓から小さくなる江戸を見てる。
「あ、忘れもん」
「え゛」
総悟は何を忘れたのか一向に言わずにまた窓の外をみる。あ、屯所だ。見て、と指をさしたのに隣から返事はなくて。少し拗ねて私は口を閉ざした。どんどん小さくなる街を見つめしばらくの沈黙。
.
.
.
.
「好きだA」
「…………は?」
「江戸にいるときに言おうと思ってたが忘れちまってた」
260人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛総(プロフ) - おひるのかねさん» ご指摘ありがとうございます!誤字だらけでごめんなさい泣 この後も誤字ってると思いますが、大目に見て頂けますと幸いです! (2月11日 2時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
おひるのかね - コメント失礼します。いつも楽しく拝見させていただいております。 第一訓の「伊三郎」は「異三郎」ではないでしょうか? (11月19日 17時) (レス) @page2 id: 917478dea8 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - めぐぽん(*´・∀・)さん» こんばんは!コメント有り難う御座います。当方連載中のシリーズになってる血風帳、剣風帳とは繋がっています!(シリーズ一覧からご覧ください)その他の私の作品とは繋がっておりません。こちらで回答になってますでしょうか (2023年3月18日 4時) (レス) id: 7df001d406 (このIDを非表示/違反報告)
めぐぽん(*´・∀・)(プロフ) - こんばんは^_^はじめまして。このお話って他の作品と繋がってますか?急な質問、すみませんm(__)m (2023年3月17日 23時) (レス) id: baf8bee298 (このIDを非表示/違反報告)
愛総(プロフ) - 雪妃さん» あけましておめでとうございます。もったいないお言葉ありがとうございます!一層精進いたしますので今年もよろしくお願いします。 (2018年1月1日 12時) (レス) id: f37a23b178 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛総 | 作者ホームページ:https://twitter.com/iso_0708/status/1468333379636834307?s=21
作成日時:2017年12月28日 2時