あなたのことは苦手です。〈佐野玲於〉

ついに　you ページ19

奏太はまた日本を飛び立つ。




私が皆さんのメイクを担当するのもあと3ヶ月。




ということは、そうすれば皆さんとの関わりもなくなるわけで……




要するに佐野さんともお別れ……




奏太の見送りのために今、空港にいる。




こんなこと、今考えてたら、私が佐野さんに気があるみたいじゃん。




ダメダメ。




奏太「まぁ、色々と落ち着いたし、あとは帰ってきたときやるか」




『うん、そうだね……』




奏太「A？どうした？最近疲れてる？」




『え？』



私が疲れてる？




……確かに疲れてるのかも。




奏太「なんかあった？」




なんもないよ。




そう言おうと思ったのに、




頭ではそう思ってたのに……




『結婚のことさ…もう１回考えても良いかな』




自分でもびっくりした。




なんでもう一度考える必要があるんだろう。




なにも不安はないんじゃなかったの？




なにかが引っ掛かっている。




でもなにか分からない。




だからこそ、なにに引っ掛かっているのか自分で見つけなきゃいけない気がする。




違うと思うけど、後悔しないようにっていう涼太くんの言葉もこのことなのかもしれない。




このまま行けば、私はいつか、引っ掛かっていた“なにか”に気づいて後悔するかもしれない。




それだけは絶対にやだ。




ごめんね、奏太。




私には今、あなたの存在を揺るがすくらい大きな存在になりつつある人がいるのかもしれない。

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