愛されない？知ってます

拾陸 ページ18

探偵社視点

「ぐす…うぅ…」

「明梨ちゃん…大丈夫？」


　A、太宰、敦が出て行った探偵社は乱歩を除き
　明梨を慰めている

　乱歩は其れをつまらなそうに見ている

　すると、探偵社のドアが開いた


「済みません。此処に島崎明梨と云う方は居ますか？」

「居ますけど…如何されましたか？」


　中に入って来たのは軍警の人だった
　
　何故明梨に用があるのか不思議に思い乍ら谷崎が
　軍警の質問に答える

　軍警はコツコツと明梨の前へ行き
　彼女の手首を掴む…そして

　手錠をかけた


「えっ…？」


　明梨は目を丸くした


「島崎明梨。殺人容疑の為、逮捕します」

「なっ…」


　探偵社に居る人の殆どが驚いた様な声を出す

　明梨は声も出せない様だ


「何で明梨さんが逮捕されないといけないのですか？」


　賢治が不思議そうにそう訊く

　軍警はニコっと微笑み


「此の方は自分の両親を殺害したのですよ」

「明梨がそんな事する訳…」


　国木田がそう云うが遮る様に軍警は続けた


「彼女は数年前、事故と見せかけて親を殺害した…
貴方の異能なら簡単でしょう？」

「しょ…証拠は？そもそも今になって何で…？」


　軍警は髪の毛を耳に掛けた


「ふふ…心拍数が早くなっていますね
　
　理由は簡単、貴方は両親を殺害した後、異能力で
　両親のクローンを作り出し事故に遭わせた

　そして、今になって異能の効果が切れた

　現に本物の両親の遺体が最近になって見つかったようですよ

　異能の効果に期間がある事を貴方は
　知らなかった様ですがね」


　明梨はあからさまに呼吸が荒くなっている
　
　探偵社の殆どの人は信じられない様な目で明梨と
　軍警を見る


「何で…私が…」

「明梨？」


　下を向き、ボソボソと何かを呟いている明梨に
　与謝野が心配そうに声を掛ける

　すると明梨は軍警に向かって叫んだ


「何でこの私が逮捕されなくちゃいけないの？
　
　今迄Aを蹴落として、両親に愛されて、
　両親を事故死させて他の人に心配されて、愛されて
　
　沢山の人に愛されてきた私が…何で…」


　そこまで云うと明梨は逃げようとする…が


「離して下さい…乱歩さん」


　乱歩が片腕を掴み、明梨を止めた

　其の隙に軍警は明梨の腕を絶対に離さない様に
　もう片方の腕を掴んだ


「其れではまた…」


　軍警は明梨を連れ、何処かへ歩き去った


ーーーーーーーーーーー

軍警の人…誰か判りましたか？
　
　
　
　

拾漆→←拾伍

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す