愛されない？知ってます

拾伍 ページ17

「この際だから正直に云わせてもらう
私は貴方の事が大っ嫌いだ！

どれだけ私が頑張っても、努力しても、認められるのは愛されるのはいつだって貴方だけ…

其れだけならまだ善いんだ…

けど貴方が優秀だから…だから勝手に貴方と比べてられて、捨てられた！

理不尽じゃない？
其の上捨てられたと云っても貴方は信じようとしない

自分が見た物しか信じない…否、見てなくても勝手に
決めつける…
そんな貴方が厭で厭で堪らないんだよ…」


　視界がぼやける
　泣いてる…のか…

　チラッと明梨さんの顔を見てみると大粒の涙が流れている
　
　…視線が痛い


「明梨ちゃんに謝って！」

「そうよ！明梨ちゃんは何も悪くないでしょ！」


　…五月蝿い


「明梨ちゃん。大丈夫？」

「明梨ちゃんに嫉妬してるだけじゃないの？」


　黙って


「そんなに厭だったら貴方がこの世から消えれば？
　私達としてはその方が嬉しいんだけど…？」


　其の言葉を訊いた瞬間
　弾かれる様に探偵社の外へ出た

　治にぃが何かを云っていたが気にする暇が無かった

　今まで何を云われてもある程度は我慢できた

　けど…存在を否定される様な…そんな言葉は耐えきれなかった

　私はひたすら走った

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敦視点

「A！」


　Aさんが探偵社から出て行く所を止めようとするが、彼女は何処かへ走り去ってしまった

　大半の人はAさんの事は気に留めず明梨ちゃんの事を慰めている


「太宰」


　乱歩さんが太宰さんに何かを耳打ちした
　おそらくAさんが向かった先だろう

　そう思った僕は其処へ向かおうとする太宰さんを
　呼び止めた


「太宰さん。僕も一緒に行ってもいいですか？」

「…いいのかい？」


　太宰さんは明梨ちゃんの方に視線を向ける

　僕は太宰さんの目を見て…はっきり答えた


「Aさんの事が心配なんです
　其れだけの理由じゃ…駄目ですか？」


　僕がそう云うと太宰さんはニコっと笑い


「駄目じゃ無いよ」


　そう云った
　
　僕は先を歩いて行く太宰さんの後ろについて行った

　

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