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夕日side



それは、五限の地学の授業が終わった時だった。


「夕日ちゃん、教室戻ろ」


私達が実験室から出ようとしたときだ。


「おーい、忘れ物だぞ」


そう先生が言っていたのでそちらを向くと先生の手には本が握られていた。


 あ、


「あそこ、夕日ちゃんが座ってた席だよね?夕日ちゃんの本?」


「うん」


私達は先生のところに行って本を取りに行った。


「黒森のだったのか」


「…すみません」


「で、その本…」


先生は覗き込むように本を見た。


「どうかしたんですか、先生?」


「黒森は天体好きか?」


私はコクりと頷いた。


「そうか!そうだと思ったぞ!いつもしっかり聞いてくれるもんな!」


先生の顔色が授業モード(明るく)になった。


この地学を担当している先生の名前は桐木太陽先生。


「先生、夕日ちゃんはいつもこんな感じです」


 え、私だけなんだ。


「それでいいんだよ。みんな耳から筒抜けの顔してるしな。ちょっとは頭に入れてくれ」


「だって面白くないんですもん」


「そんなことあるか!天体観測というもんはな宇宙の歴史を知ることができるんだぞ。宇宙のはじまりとか、惑星の誕生の瞬間とか銀河の…」


「もういいです!」


名前の通り、地学のこととなると太陽のように暑い。


阿紀さんは先生の話を阻止したけれど、私は正直もう少し聞いてても苦にはならない。


「しかし、話のわかりあえるやつがいて本当に嬉しいな。この学校でわかりあえたのは黒森で四人目だ」


「えー、他に誰かいるんですかー?」


「いるに決まってるだろう!お前らのクラスじゃないが、隣のクラスに二人いるぞ。一人は深海だろ」


「え、朝日ちゃん?本当、それ?」


阿紀さんは疑わしく私に聞いてきた。


「うん。朝日と知り合ったのも天体がきっかけ」


「深海と仲がいいのか。あいつともっと語りたいんだが、入院中らしいな。見舞いに行ったら伝えといてくれ」


「わかりました。朝日ちゃんが来れなくて先生の天体トークも授業だけじゃ乏しいんじゃないんですか?」


「ところがだな、居たんだよ、一人」


「…一人?」

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春やよ(プロフ) - ながれさん» ありがとうございます!更新遅いですが、頑張ります!! (2017年7月8日 22時) (レス) id: 2de034be92 (このIDを非表示/違反報告)
ながれ - 台本書きじゃないって素晴らしい!面白いです。更新頑張ってください。 (2017年7月1日 14時) (レス) id: 0074eb723f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春やよ | 作成日時:2016年7月14日 1時

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