【あんスタ】dilemma＿＿【悪女】

act.４８ ページ49

A『い、泉……くんは帰らないの？』



気まずさを少しでも晴らそうと声をかける。
途中、泉と呼び捨てしそうになって、慌てて修正する。





泉「……今日は俺がレッスン室施錠するから帰れないの。分かったなら早く帰ってよねぇ」



そしたら、冷たい返事が返ってきた。
しかも、何だか不満そうな口調。


A『は、は〜い……すぐ帰りま〜す』





そのまま泉は扉付近でスマホをいじり出す。

和むどころか怒られてしまって、少しだけへこむ。その時、視界にどこから持ってきたのか布団で寝ている凛月くんを見つけた。



A『お〜い！ねぇ、凛月くんは帰らないの？』



クレープのように丸まっている凛月くんの肩をつつく。



凛月「うぅ……眠い…A、つつかないで〜」



(ふふ♪こういうとこ可愛いな〜)
猫みたい、何て思って今度はほっぺたをつんつんすると。


凛月「……。Aって、やたらと俺のこと赤ちゃん扱いするよね〜…？」

A『えぇ…そう〜？だって可愛いもん♪』



むっとしている顔も可愛い何て思いながら笑いながら答えた。




すると……



凛月「隙あり……え〜い…♪A、捕まえた〜♪」

A『ちょ、待って待って…！凛月くん!?』




腕を掴まれて、ずるずると布団の中に引き込まれる。
抵抗も虚しく、布団にくるくる巻き込まれてぎゅっと抱き締められた。
(んんん!?近い近い近い………)


目の前には、悪戯っぽく笑っている凛月くんがいる。条件反射で目を反らす。





凛月「っふふ、A顔真っ赤だよ〜♪恥ずかしいの？」

A『恥ずかしいに決まってんじゃん!?…凛月くん！悪戯やめて離してよ!?』



何とか凛月くんを押し退けようとブレザーを力一杯押すけど。
凛月くんの方が圧倒的に強かった。
しかも、くすくす笑い声が聞こえるからたちが悪い。
(凛月くんのばかやろ〜!!!!)



凛月「かぁわいい♪……そんなに嫌がんなくてもいいじゃん？……あ〜あ、兄者から奪ってやろっかな〜♪」

A『は、!?』




(何か嫌な予感がするっ……!!!!)
瞬時に逃げようとジタバタするけど、あっという間に両手を掴まれた。


A『り、凛月くーん？私、もう帰りたいかn…』

凛月「だ〜め♪…A、逃げないで？」

A『もう子供扱いしないから！ホントごめんって！』



だけど、＿＿＿




凛月「今さらだよね〜♪」

A『っ……！』









笑顔の凛月くんの顔が、近づいてくる。
私はぎゅっと目を瞑った。

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