act.35 ページ36
Aside
***************
A『!零くん』
顔を上げると、会いたかった彼の姿がそこにあった。
零「A…、どうして泣いておるのじゃ?」
A『あ、っと…えっとね…』
問いかけるその声は、少し低い。
自分から来たというのに、何だか言うのが少し躊躇われて、私が視線を逸らすと。
零「瀬名くん…かのう?」
A『…いや、あの、』
零「当たり、じゃな?」
心のうちを暴露されるように言われ、口を挟む暇もない。
カタンと音がして、零くんが座ったのがわかった。
A『えっと、急に来てごめ…』
零「…おいで、A」
私の声を遮って、零くんの声が響く。
目線を上げると、優しく笑って手を広げていた。
A『…零、くん…』
引き寄せられるように、私は零くんの元へ近寄る。
零「よし…よし♪大丈夫じゃからな…♪」
抱き締められ、力が抜けた私は、体を零くんに預けた。
(あったかい…)
ぎゅ、と服の裾を無意識に掴んでしまったのに気づいたのか、優しく頭を撫でられた。
何だか優しすぎる彼に、少し罪悪感を覚える。
A『…零くん?私、泉に振られたから零くんのところに来たんだよ、嫌じゃないの?』
心の何処かで、『嫌じゃない』って言ってほしいと思っている私がいる。悪いとは分かっていても聞いてしまった。
零「そうじゃのう……」
A『わぶっ…』
答えを待っていると、急に抱き締める力が強まった気がした。
零「例え、Aが瀬名くんに振られたからだと言っても…Aが我輩を選んでくれたということに変わりはないじゃろう?」
(な、ななな)
嬉しそうな声色に自然と頬が熱を帯びる。
押し黙っているとスッと上を向かされた。
零「…というか…もうAは我輩のものだって思ってるんじゃが…違うかのう?」
唇が触れそうなほど近い距離。零くんしか見えなくて。
A『ちょ、』
零「?…もう我輩を拒む理由はないぞい?」
いつの間にか頭の後ろに手が回されてるし、体重を預けてるものだから動いたら自分が危ない。
(何か…くらくらしてきた)
零くんの香りなのか、甘い香りが思考を止める。観念して、私は零くんを見つめ返した。
(もう…何でもいいや…)
零「くくっ。その反応は…我輩のってことでいいんじゃな?」
A『うん…そう………っ!?』
答を待たずに唇が重なる。
ちゅ、ちゅ、と何度もキスしてくる彼を、もう私は拒めなかった。
337人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
M!LK(プロフ) - あおいさん» コメありがとうございます!確かにそれぞれのENDも見たいですね、、、!凛月や王さま、零や泉、それぞれキュンキュンできるように頑張りますね!引き続き楽しみに待っていてください! (2020年3月12日 16時) (レス) id: 1b4521cc4b (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - う〜ん!いろんなENDが見たくなっちゃいます!!!!凛月も王さまも泉さんも零も見たいです!!最新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2020年3月12日 2時) (レス) id: 456648e3b3 (このIDを非表示/違反報告)
M!LK(プロフ) - さまこ人間失格さん» さまこさんありがとうございます〜!楽しみが半減しちゃうかもしれないので言えませんが、、、楽しみにしててください!もっと早く更新できるように頑張ります! (2020年3月11日 21時) (レス) id: 3afeea2cde (このIDを非表示/違反報告)
さまこ人間失格(プロフ) - すごく面白いです!個人的に瀬名先輩と夢主がよりを戻すのを期待しています!更新待っています!頑張ってください! (2020年3月10日 23時) (レス) id: 97a76333d2 (このIDを非表示/違反報告)
M!LK(プロフ) - はやみんさん» はやみんさん、コメントありがとうございます!頑張ります〜♪ちなみに使わせて頂いた言葉はミゲル・デ・セルバンテス という方のものです! (2020年2月27日 21時) (レス) id: 3afeea2cde (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:M!LK x他1人 | 作成日時:2020年1月19日 13時