【銀魂】十の羊が語る夜 (ページ1)

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１匹ページ1

始めたばかりの万事屋は、まだ客足が少ない

その日その日を凌ぐのもやっとであり、つい先ほど鳴ったインターフォンも、新聞であったら無視を決め込んでいたところだ

しかし、何度も鳴らされたインターフォンに戸を叩く音。そこから見えた影は小さく、子供だと分かった

子供には優しくするのが大人の義務だかなんだか知らないが、金も払えないようなガキに優しくしてやる義理はない

『何の用だクソガキ』

イタズラなら帰ってママんとこ行ってろ、と手で追い払おうとしたが、自分がはっと息を飲むのが分かる

一瞬呼吸をするのを忘れてしまうくらい、目の前に立っている少女に目が釘付けになった

『A……？』

いや、そんな訳はねェ。だって彼奴は俺と同じ歳であったはずだ。だが、この少女は齢五、六歳である

口が開いたまま塞がらない俺と、何も言葉を発しない少女。先に行動したのは少女であり、俺に真白な封筒を渡してきた

どうやら読めと言いたいらしく、糊付けされていない封を開けて中の紙切れを取り出す

開けば、だいぶ昔に見たっきりの達筆で、少し右上がりの字が羅列してあった

間違いなく、Aの字だと頭が断言している

______銀時へ

この子は私と貴方の子供よ。

お願いがあるの。この子を自分の子供だと思わなくていい。

万事屋さんとして依頼したっていいから、十日間だけ預かって欲しい。

貴方だけが、頼りなの_______

『………は？』