第８９振 怪我と驚きと←とっておきの驚きを君にもたらそう(鶴丸side) ページ45
鶴丸side
ーー荷葉が、俺が作った落とし穴に落ちていた。落ちた衝撃で捻挫。長い時間穴の中に居たせいで、濡れて風邪を引いた。…俺が作ったばっかりに、こんな事になるなんて。…すまなかった…。
今剣「荷葉のようたいはどうですか、薬研」
薬研「足首の捻挫と、軽い風邪だな。熱も微熱程度だ。安静にしていれば、明日には下がるだろう」
岩融「そうか。それならば安心だ。他の小さき者たちには、俺から伝えておこう」
岩融に付いて今剣と薬研も出ていき、この部屋には俺と荷葉の２人きり。時折額の手拭いを取り替えてやる事しか、俺には出来ない。
A「鶴さん…??」
鶴丸「君、大丈夫か??俺のせいで、こんな事になってしまったが…」
荷葉は力なく首を振る。違うとでも言うように。
A「さっきも言った。あれは、私がドジだったからであって、鶴さんのせいじゃないよ…」
鶴丸「俺のせいさ。あんな物を作らなければ、君は怪我をしなかった。それが事実さ」
そう、それが事実。俺がした事での、怪我なのだから。
A「もう、許してるのに。鶴さん、堅すぎ」
そう言い、少しばかり頬を膨らませた。
燭台切「荷葉、少し良いかな??」
A「みっちゃん??どうぞ」
ゴホッゴホッと咳込む荷葉の背中を、優しく撫でてやる。光坊の手には、お盆に乗った土鍋が。
燭台切「お粥作ってきたんだけど、食べれるかい??」
A「みっちゃんが、私の為に作ってくれたんだもの。食べるよ」
光坊はお粥の入った土鍋だけ置き、部屋を出ていった。土鍋の中から湯気を出し、美味しそうな玉子粥が。俺が器に取り分け、れんげで掬い、冷まして口元に持っていく。所謂、あーんと言う奴だ。荷葉は照れながらも、食べてくれた。
A「…美味しい。流石みっちゃん。後でお礼言わなきゃ」
鶴丸「俺から伝えとく。今は、薬を飲んでゆっくり休んでくれ」
お粥を完食した荷葉は俺の言葉に小さく頷き、薬研が調合した風邪薬を飲ませる。
A「…苦い…」
鶴丸「良薬は口に苦し、と言うだろう??君もこう言う所だけ、子供だな」
A「そうかもしれないね。…後は任せるわ、鶴さん。少し、休むわね…」
そう言い、少しすると寝息が聞こえてきた。
鶴丸「寝たか」
疲れもあるんだろう。そっとしておいた方が良いな。
鶴丸「俺はどうやら、君が好きらしい」
聞こえている筈がないのに。どうしても、君に言いたかったんだ。
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作者名：葦原 さくら | 作成日時：2018年4月13日 9時
