３６話．雑務 ページ38
．
トントンの元へ駆け寄ると不安そうにこちらを見つめる
ト「…なんか言われたん？」
「いえ、謝ってきました」
嘘だけど
ト「なんでAちゃんが謝る必要があるんや」
「だって、私のせいで喧嘩してたんですよね…？」
申し訳なさそうに目を逸らせば
トントンの大きな手がこちらに伸びて優しく頭を撫でる
ト「気にせんでええよ、Aちゃんのせいやない」
見上げれば少しぎこちない笑みを浮かべていた
「…はい」
んなわけない、あれは確実にAのせいだ
「(それにしても面白かったな、あの顔)」
女幹部の混乱した表情を思い出して
吹き出しそうになるのを必死に堪えながら廊下を歩く
２人が向かったのは古びた書庫
そこには我々国の歴史について書かれた書物や
使い古されて壊れてしまった銃器などが乱雑に放られてる
ト「この棚と一つ奥の棚の書物を地下に運ぶんやけど」
「(えー、だる)」
そういう雑務は一般兵の仕事ではないのか？
色々な疑問が浮かんで不満を言いたいところだが
ここまできて拒否することなんで出来ないので素直に頷く
ト「Aちゃんはまとめるだけでええから」
「いえ、私も地下まで運びますよ」
本当は面倒臭いがこれも書記長補佐の仕事
というか好感度アップのために最後までやり遂げるべきだ
ト「いやいや、女の子にそんなことさせられへんよ」
「…ですが私はトントンさんのお役に立ちたいんです」
うるうると瞳を揺らがせて上目遣い
ト「そか、ありがとう」
シンプルだがあざといテクニック
案の定少し困ったように笑いながらも頬を赤くさせていた
「じゃあ私はこっちの棚を片付けますね」
ト「おう、なんかあったらすぐ俺を呼ぶんやで」
にっこり笑って返事をしたあと
すぐさま棚から書物を引っ張り出して床に積み上げていく
「(あとはこれを全部ダンボールに詰める)」
複数のダンボールに素早く本を詰め終わり
トントンの方を手伝いに行こうとしたが何やら外が喧しい
「何かあったんでしょうか？」
ト「あー、多分アレやな」
どうやらこの喧騒がなんなのかトントンはわかるみたいだ
「アレ、とは？」
ト「…内ゲバや」
それは一体何なのか聞こうとした時
鼓膜が破れそうな程の爆発音がして本棚が揺れ動き傾いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2870人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
餅野郎もち介 - 完結おめでとうございます！いつも楽しみに見てました！私個人としては、女幹部と夢主ちゃんとのバッチバチなド修羅場や、チーノさんとの絡みもとても好きでした！これからも応援していきたいです！本当に素晴らしい作品をありがとうございます！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))♡ (2022年7月29日 21時) (
レス) @page49 id: 1580038392 (このIDを非表示/違反報告)
氷空 - 続いてコメント失礼します。続編が出るとしたら即見に来ますね！！ (2022年7月29日 14時) (レス) id: cd6e52358c (このIDを非表示/違反報告)
氷空 - 完結?おめでとうございます!いつも楽しみに見させていただいてました！トン氏と、夢主ちゃんの可愛いやり取り…めっちゃ好きです!女幹部も結構好きだったような?ｗ (2022年7月29日 14時) (レス) id: cd6e52358c (このIDを非表示/違反報告)
るか - 完結(？)おめでとうございます！！！！なんとなくさんの作品が大好きで、ほんとうに楽しみに読ませて頂きました。これからもご投稿心待ちにしていますので、また作品をつくってくださると嬉しいです(●︎´▽︎`●︎ (2022年3月30日 0時) (レス) @page49 id: 56081a8842 (このIDを非表示/違反報告)
なんとなく(プロフ) - rieさん» コメントありがとうございます！身に余るお言葉を頂けてとても嬉しいです。このような作品を読んで貰えて本当に喜ばしい限りです…是非これからも宜しくお願いします。 (2022年3月26日 21時) (レス) id: 963a8785fe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なんとなく
x他1人 | 作成日時：2021年4月29日 14時
