【d!】叩けば良いのです

６話．慣れないこと ページ8

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その日の晩、溜まった書類を少しでも
終わらせようとグルッペンは遅くまで起きていた

きっとAも自室で仕事をしているはず






グ「(眠い、書類をしなければ、でも眠い)」






何度も机に伏せそうになり
気合いで眠気を振り払うのにもそろそろ限界だ






グ「(…眠気覚ましにコーヒーを飲もう)」






眠気がピークに達し
このままではダメだと席から立ち上がり
コーヒーメーカーに近付いてスイッチを入れた






グ「(あ、Aも起きてる)」






隣の部屋に微かな明かりが見える

Aは何度も徹夜をしているから
またぶっ倒れる前に寝なさいと言ったはずだが






グ「(…コーヒーでも持っていくか)」






出来たて濃いめのコーヒーを注ぎ
差し入れするために総統室を出て隣の部屋に行く

控えめにノックすると足音がしたあと扉が開いた






「はい、って何で総統様がここに…」


グ「また徹夜か？」






グルッペンの顔を見た途端
バツが悪そうに眉を寄せて小さくため息を吐く






「そうですけど、何の用ですか？」


グ「眠気覚ましにコーヒーを持ってきたんだ」






ティーカップを無造作に差し出すと
おっ！と嬉しそうに笑ってお礼を言い頭を下げた






グ「でも寝れる時に寝るんだぞ」


「はい、総統様もですよ」







久しぶりに嬉しそうな笑顔を見た気がする

やはりAは怒らなければただの可愛い少女だ






グ「それじゃあ、総統室に戻るから…」






おやすみ、を言う前に視界がぼやけて揺れる






「総統様？どうしました？」


グ「いや、何でもない」






眼鏡を取って目を擦ろうとしたとき
足の力が抜けて膝から崩れ落ちそうになった






「総統様！」






Aが慌てて支え、間一髪倒れるのは免れた

徹夜なんて慣れないことをしたからだろう
瞬きをする度に猛烈な眠気が襲い意識が飛びそう






「総統様、一旦部屋に入りましょう」


グ「…あぁ、すまない」






まともに歩けないグルッペンを支えながら
Aの部屋に入れてもらいベッドに座り込んだ






「横になったほうが良いんじゃないですか？」


グ「ダメだ、まだ仕事が残ってるんだ」






少し頭を振って立ち上がろうとするが
すぐに倒れそうになってもう一度座れと促される





「仕事なんていつでも出来るんですから」


グ「これ以上Aに迷惑をかけられない！」






夜中とは思えないほどの大声に自分でも驚いた

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