２話．相棒 ページ4
．
医薬品の臭いと規則正しい電子音で目を覚ます
『あ、起きた』
視界の端に赤マフラーの男性が映り
ぶっ倒れるまでの経緯を思い出して飛び起きた
ぱくぱくと口を動かすが恐怖で声が一切出ない
『落ち着け、俺は幽霊とちゃう』
「いや、だって足が透けてるし！！」
やっと声を出せるようになり
男性の足元を指差せば困ったように苦笑する
『今な、訳あって幽体離脱してんねん』
「ゆ、幽体離脱？」
幽体離脱って魂が体から飛び出るあの現象か？
『せやから俺はちゃんと生きてる』
「いや、でも…」
それってほぼ幽霊では？という言葉を飲み込む
「じゃ、じゃあ私以外の人には見えてない？」
『そう言うことや』
じゃあこの会話も男性の声は他の人には
聞こえておらず、独り言だと思われているのか
『驚かせてすまんかった』
「い、いえ！」
まじまじと凝視して見ても生きている人のようだ
『あの後ぶっ倒れて朝まで気絶してたんやで』
「そ、そうなんですね…」
どうやら幽霊だと思って気絶したあと
早朝に訓練をする軍人によって発見されたらしい
そして医務室に運ばれて、現在に至るようだ
『俺はトントン、よろしくな』
「よろしくお願いします」
癖で手を差し出せば男性も同じように動き
握手しようとしたのだがそれは当然出来なかった
トントンの手がすり抜けて腕を貫通する
「…」
『あぁ、すまん』
意識が遠退きそうになるが何とか堪えてみせた
ト『これもなんかの縁や、助けてくれんか？』
「助ける？トントンさんを？」
トントンは大きく頷いて
幽体離脱になるまでの経緯を簡単に話してくれる
「あー、体に戻る方法を探せばいいんですね」
ト『そうや』
本当は拒否したかったが
彼の機嫌を損ねて霊障でも起こされたら恐怖だ
ここは素直に従ったほうが身の為だろう
「ちなみにですけど拒否したらどうします？」
ト『そんときはお前を呪ったる』
冗談にしては笑えなさすぎると
顔を引き攣らせればトントンは豪快に大笑いした
ト『それじゃあ今日からよろしくな、相棒』
「はい、よろしくお願いします」
相棒ってなんだよ、とはツッコまなかったが
話を聞いた限りトントンはこの国のお偉いさんだ
しかも断ったら呪われる
自分の身を守るためには
この人の言うことを聞いたほうが懸命だろう
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るか(プロフ) - こんな神みたいな小説をありがとうございますすごく泣けました！！！！ (2022年10月26日 21時) (
レス) @page44 id: 8ee7b90455 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - ちょっと待って！？貴方様だったんですか！？なーちゃん！？…崇めます。うちの大好きな小説の作者様だったなんて…。この小説本当に好きです！！何回も読みました…！！tn氏の小説もっとください…。←(tn氏最推しの人) (2021年6月12日 3時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
moz(プロフ) - 何周目か分かんないくらい読み込んでおります…！途中ヒヤヒヤするところで心拍数がぶち上がりました。神作者様の他の作品も読んできます〜！（追記ですがこの作品によく似た作品がありました。タイトルは 幽体離脱してた件 です。気のせいだったらすみません。） (2021年1月22日 18時) (レス) id: db48de9f7d (このIDを非表示/違反報告)
ハト - 神 (2020年12月8日 3時) (レス) id: f0bbbc5cbd (このIDを非表示/違反報告)
赤月奏楽 - 完結おめでとうございます！まだ二話くらいしか出ていなかった頃にこの作品を見つけて、ふと思い出してぶっ飛んできたら完結してました。途中はどうなるかとこちらもヒヤヒヤしましたが、最高の作品でした！神様ですね。神作品をありがとうございました！ (2020年11月22日 11時) (レス) id: 0a13c144ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なんとなく
| 作成日時：2020年8月9日 17時
