69_蓮矢ゆうき【世界を嫌いになりたい】 ページ24
*
夕食の席には大体の人達が着いていた。
(空気は、ちょっとマシになったかな……)
完全に元通りとは言えないけれど、昼食時に比べて皆の表情が少し柔らかい。
七夜さんは相変わらず積極的に周りとのコミュニケーションを取っているし、セツナさんも機嫌が良さそうだ。
こんな風に少しずつ状況が改善されれば良いのだけれど……淡紅色さんが、元気なさげに見えるのが少し気になった。
「風呂場で倒れていたんだよ」
考え込んでいたボクを、カイムさんの声が現実に引き戻した。
「あぁ、だから零くんがいないんだね」と、オズさんが納得する。
……先程の事があるので少し気まずい……。
周りは比較的ガヤガヤとしているので、この話を共有しているのはボク、オズさん、カイムさん、セツナさん、淡紅色さん、そして進道さんの六人だった。
「れ、零さん、大丈夫だったの……!?」
「心配するな。部屋で休んでるだけだ」
カイムさんの言葉からして、自ら命を絶とうとした、という事ではないようだ。
進道さんは、それに関しては想定済みのようだったけれど、何か別の事について考え込んでいた。
「良かった……」
「あはは。ゆーきは零くんの事、大事なんだね!セツナもだけど!」
仲良いもんねー、とセツナさんは微笑む。
「う、うん、まぁ……大事っていうか、一緒にいて楽しいから……かな」
「……お昼頃は気まずい空気だったけど、そういう風に平和なコンビがいると良いよな。それだけで俺、ちょっと救われた気がするよ」
淡紅色さんが小さく笑った。やっぱり、ボク達が険悪な事を気にしていたのだ。
普段からボクらの事を気にかけてくれる人だからなぁ……と思っていて、ふとボクは口を開いた。
「あ、あの……ここで言っちゃいけない事なのかもしれないんだけど……」
「内通者の件か?」
進道さんに聞き返され、ボクは頷いた。
お昼、七夜さんに廊下で言った事を話そうと思ったのだ。けれど。
(……い、言えない……)
間違っていたら、どうしよう。
淡紅色さんにも進道さんにも『違う』と言われたら、どうしよう……。
(……せっかく考えたのに……)
ボクが諦めて口を閉ざしかけた時。
誰かが後ろからボクの頭にポンと手を置いた。
「ここで俺らが混乱したらあかんのやってさ!」
思わず振り返ったボクと目が合うと、七夜さんはニッと笑った。
「ゆうきが考えてくれた事なんやけど……」
そして七夜さんは、ボクが話した考えを代わりに皆に説明してくれた。
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ニャ助(プロフ) - 更新しました。こんなに短くてすみません(><) (2020年5月4日 11時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
ニャ助(プロフ) - お久しぶりです!最近更新出来ずすみません…!更新してきます! (2020年5月4日 10時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新しました。 (2020年3月23日 15時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新します。 (2020年3月23日 14時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 更新しました!オズはまだ行く先決まってないので、使って話を進めてもらって構いません! (2020年3月21日 23時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
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