60_蓮矢ゆうき【世界を嫌いになりたい】 ページ13
「オズさん、どこ行っちゃったんだろ……」
話している途中に突然、彼女が駆け出して行って驚いた。
しばらく探すものの、なかなか見当たらない。
「人が多い所……リビングとか、かな?」
いつも賑やかなリビングだけれど、着いてみるといたのは一人だけ。
それも、ボクがあまり得意ではないタイプの人だった。
「やぁ、ゆうき君!」
「え、えっと……オリヴァーさん」
エルイで良いよ、と彼は笑う。
オズさんや七夜さんと同じ台詞ではあるけれど、彼らほど気軽に「エルイさん」とは呼べない気がする。
この人がそう言うのは「ゆうき君は醜いから大丈夫」とか、そんな理由があっての事だろうから。
「えっと……あの、エルイさんは何故ここに?」
「うーん?別に。いちいち理由が必要かな?」
その言葉に、先程のボクの思考を見抜かれていたような気がした。
やはりこの人は苦手だ。話しているとボクの脳内を覗かれている気分になるのに、ボクには全く彼の考えている事が分からない。
「ゆうき君は?」
「あ、ぼ、ボクは、オズさんを探してて……見かけたり、してないかな……」
「んー、どうだろう。見たような見なかったような……」
片手に美味しそうなお菓子を持ちながら、考える素振りを見せる彼。
理由なんてボクから言わなくても分かってそうだけど、などと思っていて、ふとボクは気づいた。
「……ね、ねぇ、あの……エルイさん」
「ん?」
「エルイさんは、内通者の正体……知らないの?」
この人だったら知っているかもしれないし、もしかしたらエルイさんが内通者かもしれない。
疑いたいわけではないけれど、後々になって内通者だと判明したら、皆はきっと裏切られた気分になる。
それは望んでいる展開じゃない。混乱を招くし、内通者の人達だって傷つくだろうからだ。
「……ゆうき君は、嘘をつく生き物だよねぇ」
突然、言われた台詞に、ボクは思わず「え?」と聞き返していた。
「人間だよ。ゆうき君はバケモノでもなければ、人形でもないでしょう。人間は必ずと言って良いほど嘘をつくんだよ。どうしてか分かるかな?」
「え……な、何を言ってるの?」
「生きるために必要だからだよ。嘘をつかないと差別される。軽蔑される。本人も周囲も傷つく。だから嘘をつかずにはいられないんだよ。
ついていけないボクに、エルイさんは最高に裏の読めない笑顔で言い放った。
「だからさぁ……ボク達の中に
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ニャ助(プロフ) - 更新しました。こんなに短くてすみません(><) (2020年5月4日 11時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
ニャ助(プロフ) - お久しぶりです!最近更新出来ずすみません…!更新してきます! (2020年5月4日 10時) (レス) id: 636a33148d (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新しました。 (2020年3月23日 15時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ - 更新します。 (2020年3月23日 14時) (レス) id: 91777e8ddd (このIDを非表示/違反報告)
春雨(プロフ) - 更新しました!オズはまだ行く先決まってないので、使って話を進めてもらって構いません! (2020年3月21日 23時) (レス) id: 55d503be78 (このIDを非表示/違反報告)
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