【ハリポタ】お転婆少女と悪霊の耳飾り② (ページ25)

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act74 ページ25

【キトウside】

武装解除呪文以外の使用を禁ず。

マグレッツ先生の言葉が、頭を回る。
そんなのして勝っても、僕は納得がいかない。
だって僕は沢山練習したんだ。
ルーピン先生に秘密の特訓をつけてもらったのに、
それじゃ無駄になってしまうではないか。

だが彼は、文句は受け付けないときっぱり切り捨てた。
まるで結果を見てから文句を言えと言う風に。

それがなんだか、気に入らなかった。
勿論先生は、セブルス・スネイプは、第一線で戦い続けた強い魔法使いだ。

その強さに劣りがないことも確認したし、それを見据えての訓練だったというのに。

3,2,1……

彼は動かなかった。いいや、正確には動いたのだろう。
緩慢で頭を掻くかのように、自然な動き。

ふっと美しい流線を描き、杖は滑らかに宙を滑りそして、

「っあ！？」

僕の手から、杖を奪い取った。
美しく、華麗で、現役闇払いにも劣らない呪文を、
彼は披露して見せたのだ。

何が起こりどういう状況に陥ったか理解するのに、
少しの時間を要した。

「鈍ったな」

その黒い杖を持て余したように、指先で回転させて、彼はそう言ったのだ。

一瞬で敵から杖を奪ったその技を放ち、彼は腕が鈍ったと言ったのだ……！！

つい先程まで杖があった手を、凝視する。

格が違うとは、この事か。

「さぁ、キトウ。」

「…っ。」

「我輩は基本恋愛に口出しをする気はない。」

彼が無言でマグレッツ先生を見る。
肩を竦めることを答えとし、彼は再び僕を見据えた。

「と、言うことだ。基本我輩達の目を気にする必要はない」

「ま、待ってください、僕は、負けたんですよ？」

「結果はなく過程を重んじるのが魔法薬学を
歩く者の考えだが？」

「……っ！！」

彼の顔を見た。今までにないほど綻んだその表情は、

僕を、認めてくれた証拠だ。

「…それでも納得がいかないなら我輩に師事
すればいい。いつでも歓迎するぞ？」

『……となると彼は弟弟子か…』

「……そうさせてもらいます。」

深く頭を下げる。すると彼は柔らかい声で、

「もう寮へ帰りなさい。これ以上は見逃さない」

「…はい。」

そのまま背を向け、僕は大広間を出た。