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子供の時って、誰もが「戦隊モノ」に憧れる時期ってあると思う。私も、悪を倒して街の平和を守ろうとする、そんなヒーローに憧れていた。
でも、大人になるにつれてそういうジャンルからはかけ離れていく。ああ、戦隊モノ好きな時期あったなって、懐かしむように笑う。そんな所まで成長する。
ヒーローって、この世にはあんまり居ないと思うの。そりゃあ、小さい子供はその存在を信じることがあるけど…高校生にもなった私は、滅多に居ないっていう意志を固めているから。
そう、思っていたはずだけど
“彼”と出会ってから、私のヒーローはこの人だ、って思い始めた。
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先生「渡辺さん。ごめん、これ職委員室まで運んでくれない？」
「あ、分かりました！」
高校生2年生。桜が散って、2年生に慣れてきた、そんな時期。
突然だが、私には友達がいない。中学校では「友達はそれなりに多いです！」って胸を張って言えるくらいだったはずなのに。
中学校の友達が誰一人居ない高校に入ってしまったもんだから、新しい友達をさがさければなかった。入学当時はワクワクしながら挑んだのに、今はこの有様。
なんで居ないの？って聞かれても、こちらも分からない。むしろこっちが聞きたい。別に、クラスでは孤立してるってわけじゃない、話しかけられる時はある。ただ親友と呼べるのがこの高校に居ないだけで…。
今日も先生の雑用か〜ってでっかいあくびしてると、後ろから足音が聞こえる。
慎太郎「渡辺さん！また先生に頼まれごとされてるの？」
「…え？あぁ…え？？うん！」
同じクラスの森本慎太郎くん。圧倒的陽キャな存在だから自分とは一生関わりないと思ってたところなのに、話しかけられた。急におかんみたいなセリフぶっ込んでくるから、こっちは困惑。
慎太郎「嫌なら断ればいいのに。ほら、半分貸して」
「……？ 手伝ってくれるの？」
慎太郎「当たり前じゃん！俺、渡辺さんと話してみたかったし。…なんか、苗字呼びって堅い？？Aって呼んでいい？？」
高速道路みたいに、森本くんの中でどんどん話が進んでいく。話しかけられたのは初めてなのに、手伝ってくれるのか…優しいな…
慎太郎「じゃ、行こ！」
「あ、うん！」
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作者名：りんご | 作成日時：2022年11月26日 18時
