揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ21)

今日:4 hit、昨日:24 hit、合計:59,027 hit

21 ページ21

＊元太side

ケイのカフェにAさんを連れて行った

そしたら夜飲もうぜと誘われ、俺の家で宅飲みすることになった

俺が女の子と遊んでいたのはケイも知っている

だが実際にケイに会わせたこともお気に入りのあのカフェに連れて行ったこともない

「元太はもっとこうギャルって感じの子が好きなのかなって思った！」

そう？なんて言いながらおつまみに箸を伸ばす

「あくまで俺のイメージね！でもAさん、結構良い人そうじゃん！」

俺は大きく頷いた

そうなんだよね、誰がなんと言おうとAさんは良い人だ

「んで、いつ告白するの？」

「え？」

「いや、え？ってお前、Aさんとはそういう関係じゃいたくないんでしょ」

まあ、そうなんだけど、と答える

確かに俺はケイの言う通り' そういう関係 'にはしたくない

自分で言うのもなんだが俺は割とすぐ手を出す

その俺がこれだけ我慢してるということは分かって欲しい

しかし初めて会った時に手を出してしまった

それで間違いなくAさんには遊んでる男だと思われているだろう

「で、実際はどうなの」

「うーん、まあ告白っていうか告白まがいのことはしたんだよね」

そう言うと「へ！？」とケイは声が裏返る

「お前以外とやるなあ〜！」

なんて雑に頭をわしゃわしゃしてくる

ちょ、やめろよと言いつつも嬉しかったりする

「そういえばAさんってケイとタメだよ」

「え！？そうなの！？」

うん、と缶ビールに口をつけながら言う

「おい、なんかお前拗ねてる？」

肩に手を置き、顔を覗き込んでくる

「ばか、そんなんじゃねー」

ふはっと笑うケイ

「なーんかさ、Aさんと会ってから変わったな」

素直になったっつーか、と続けるケイ

「そう？」

「あんだけ毎日飲み歩いて、女と会ってたなんて今じゃ考えられないな」

グビっとビールで喉を潤すケイ

「そういう関係の奴切ったんでしょ？」

うん、と頷く

「偉いじゃん、あとはもう逃げないで頑張るだけだな！」

俺はケイの言葉を聞いて何故だか無性にAさんに会いたくなった

お開きになった後Aさんに連絡を入れた

しかし返ってこない

電話もしてみたが繋がらない

「まあAさんも忙しいよね」

自分に言い聞かせるようにそう呟いた