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「適当にソファー座ってて!」




彼は帰路の途中で寄ったコンビニの袋をテーブルの上に置く




「なにそんな見てんの?面白いものでもあった?」




部屋を見ていた私に気づきそう声をかけた




「いや、意外と綺麗にしてるんだなって」




何も考えずに口から出た言葉




ふはっ、と彼は吹き出し




「意外とってなに?やっぱおねーさん面白いね」




経験がない訳では無いがあまり男の人の家にお邪魔することがない為少しそわそわしてしまう




「あんま緊張しなくていいよ」




あんまり男慣れしてないの?なんて笑ってくるもんだから私はちょっとムキになって




「そういう君は慣れてそうだね」



強がって言ってみた




「そー見える?」




なんて余裕そうに言うもんだから可愛くない




「俺って意外と一途なんだけどなあ」




「信用ならないんだけど?」




ええー!とソファーの背もたれに身を投げる




「そういえばおねーさん、名前なんていうの?」




「大橋、A」




「Aさん?可愛い名前」




何故か彼に呼ばれる自分の名前の響きは今まで何千回、何万回と聞いてきたはずなのにとてもくすぐったく感じた




「あ、俺は松田元太!」




「元太くん…」




「元太でいーーって!」




「わかった」




出会ってまだ数時間だけど彼は人と話すのが上手いんだろうな




私自信人見知りな訳では無いが今日会ったばかりの人とこんな距離感になれることはない




ましてや初対面で男の人の家に上がり込むなんて生まれて初めてだ




自分で考えておきながら少し恥ずかしくなってしまい勢いで前にある缶ビールをグイッと飲む




「Aさん、ハイペースすぎない?大丈夫?」




別にお酒は弱くない。人並み程度には強いはすだ。




しかし今日は慣れないことがあるからかペースを見誤ってしまった。

4→←2



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作者名:ゆい | 作成日時:2021年8月10日 16時

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