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琴鬼 ページ7

「ん。。。?」


目がさめたら鬼の館で、まぶたを上げるとまぶしい光が見えた。

鬱陶しい光から逃れるように寝返りを打てばあの匂いに包まれる。

さわやかな甘い香り。


ぎゅっとしてみれば柔らかくは無いが硬すぎない柔らかな温かみが伝わってくる。

最近少し肌寒い日々が続いている。

この館の鬼にはそのような感覚が無いようで、外のままの寒さが寝起きの体に纏わりついてくる。


その寒さから少しでも逃れようと俺はぎゅっと其処にある温もりに向けて体を縮めた。

ふわりと肩に乗せられた温もりによってもたらされた眠気に身を委ねようとした時。


「A、大丈夫?」


無一郎君の優しい声が聞こえた。

じゃぁ今抱いている温もりは無一郎君だ。

肩に乗った暖かなものは無一郎君の手。


「無一郎君、迷惑かけてごめんね…」

「迷惑なんかじゃない。
謝らないで、僕は全然大丈夫だから。」


微笑む無一郎君。

柱合会議なんかじゃ見せない表情だ。

美男で、気遣いも出来て性格も良い。

この対応を他の人にもすれば良いのに。

そしたら彼女だってできると思う。

なのに、なんでしないんだろう。


「ありがとう、あれからなにかあった?」


ゆっくりと起き上がりながら言う。


「怖いくらい何も無かったよ」

「人間の匂いがあるから鬼が来ても良いのにね。」

「鬼の気配はするからね。
だからこの状況が異様過ぎるのか、それともアイツの言いつけで入れないのか。」


そうだね、なんて返して横にあった日輪刀を腰に挿す。

そして無一郎君と移動しようか、と話していた時だった。



綺麗な琴の音と、綺麗な女の歌声がまた聞こえてきた。



琴の音が聞こえる度に、時空がころころと変わる。

斜め前を小鬼が走ってったり、遠くに琴を弾く鬼が見えたり。



そして、歌が終わる最後の一音で、正面に琴鬼が現れた。



琴の前で正座をして、十二単のような物を着た長髪を毛先で束ねた女鬼が居た。

顔色は青白く、死人のようで。

唇は紅を引いたか紅色をして。

目元は何かが書かれた紙で隠されていた。



「無一郎君」

「分かってる」



こいつが一番強い鬼。気を抜いちゃいけない。


そう、第六感が呟いた。

選択→←無一郎の無



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作者名:Ro:A | 作成日時:2019年9月23日 3時

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