記憶146 ページ6
「そんなことがあったのか」
喋れない私では効率が悪いので、山本さんが全て説明してくれた。
それでも足りない部分や不明瞭な部分を補うくらいことはした。
「その怪我を治すという力は本物なのか?」
学園長は私に問いかけてきたため私は頷き、五年生に聞けば証明もしてくれるだろうとノートに書いて見せた。
そうか、と眉間のしわをさらに深くして何か考える素振りをする。
「Aの使う妖術は異性を魅了するものではなく、自己を犠牲に他者を癒すことができるものだったと考えるのが妥当かのう」
そういえば、そんなものもあったな。
妖術だのなんだの、私には関係ない話だと最初は思っていたのに、まさかこんなことになるなんて。
私に良くしてくれる伊作さんや優しくなった久々知さんを筆頭に、接することの多くなった人もいるが、その人たちが私に好意を見せることは無かった。
【考えてもみませんでしたが、その考えが一番有力かもしれません】
それに学園長はニヤリと笑った。
戦場でいいように扱われるのが妥当か。
こんな使いようのいい駒、私だって利用する。
思い入れがあるわけでも、誰かに抗議される訳でもない。
使い物にならなくなればすぐにまた代替品が来る。
同じ能力であるかどうかは賭けになるが、違ったのなら四番目の天女と同じようにするだけ。
「なら危険は無いな。……よし! たった今より高坂Aの軟禁を解く! もちろん保護は続けるから安心するがよい」
……思っていた反応と違う。
私が人でなくなろうとも、家族どころか血縁者もいないし、人権を侵害するようなことをされたところで法の整備もされていない。
為す術なく、ボロ雑巾のような扱いを受けるのだと。
私は、何に悩んで今まで黙っていたんだ。
「そういえば文献を探しに行きたいと言っていたな。一人でというのは許可できんが、誰かと共に行くのであればそれも許そう」
ハッとしながら頭を下げる。
許可がでたのはありがたいが、町へ行くたびに誰かを誘わないといけないのは申し訳ない。
私の個人的な用事に振り回される人が出てくるわけなので、しょっちゅうは出掛けられなさそうだ。
それでも手がかりを掴めるかもしれない場所へ行けるようになったのは大きな一歩だ。
【ありがとうございます】
文字を見せてからおもう一度辞儀をする。
「よいか、その力はもう二度と使うでないぞ。これは絶対に破ってはならん」
とても優しい声だった。
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小学7年生(プロフ) - ビビさん» コメントありがとうございます! ぼんやりとしか決まってないですが、アンケの結果を考慮するとこんなるかなぁというのはあります! ありがとうございます、最後まで頑張ります(^^) (2020年3月4日 17時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 初めてコメントさせていただきます。続きが気になって仕方ないです。終わり方決まってるんですね、どんな風になるのか楽しみにしてます。これからも応援してます。 (2020年3月4日 12時) (レス) id: 1ea5bff0da (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ゆきさん» めちゃくちゃ嬉しいです……(;ω;)一応終わらせ方のだいたいの方向性は決まってるので最後まで見て頂けると幸いです(●´▽`●) (2020年3月1日 12時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めまして、こんにちわ!このお話とても面白くて凄く好きです!これからどうなるのかとても楽しみです♪無理せず頑張ってください!応援してます(*´ω`*) (2020年3月1日 10時) (レス) id: d382303660 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ウーロンティーさん» 光栄です! ありがとうございます、頑張ります〜!! (2020年2月19日 0時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月24日 18時