記憶189 ページ49
思いのほか用具倉庫の整理が早く終わったため、任されていたもう一つの仕事のために作法委員会が使っているという部屋に向かう。
あとどれ位で授業は終わるのか。
時計もなく正確な時間も不明なので体感時間から推測することしかできない。
食堂を出てからどれくらい経ったのかも不明。
まあ、長くて一時間くらいか。
片付けをしていただけだし、そんなもんだろう。
時計がないというのはそこそこに不便だ。
考え事をしていたらいつの間にか目的地に着いていた。
ガラガラと戸を引くと中は棚で列が分けられていて……学校の下駄箱を狭くした感じ、と表現すれば分かりやすいだろうか。
「なんだこれ……」
棚には気味の悪い被り物が陳列されていて、その被り物はいくつか床にも乱雑に放置されていた。
何に使うものなのか皆目見当もつかないが、そんなこと私にはどうでもいい。
ここも整理を任されているため、とりあえず床に転がっている被り物を一つ手に取る。
アヒルのようなくちばしには口紅が付いていて、まん丸の瞳には立派なまつ毛。
おまけに、どこか学園長を彷彿とさせる髪型と眉。
個人名を出しておいて言うのもなんだが、やはり気味が悪い。
顔がついているものだからか、四方八方から見られているように感じて居心地も最悪だ。
早く終わらせようと体を動かす。
(空いてるところに置いていけばいいのかな)
左の列の上段が空いているのが目に入ったので、軽く背伸びをして乗せる。
顔が真正面を向くようにいくらか調整をして、自分の中で納得がいったので他のものを片そうと振り返る。
入口に差し込む陽に、人影ができているのに気が付いた。
影を辿ると、その主はこちらを見つめていた。
病的なほど白い肌に、風に吹かれて柔らかく曲線を描きながら揺れる長く艶のある髪、緩いシルエットの服の上からでも分かるスラリと伸びた長い手足。
無駄に沈黙が出来てしまったせいで喋り出しにくくなってしまったが、深く気にせず右手を肩ほどまで上げて挨拶をする。
「こんにちは、立花さん」
彼は少しだけ、目尻を下げた。
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小学7年生(プロフ) - ビビさん» コメントありがとうございます! ぼんやりとしか決まってないですが、アンケの結果を考慮するとこんなるかなぁというのはあります! ありがとうございます、最後まで頑張ります(^^) (2020年3月4日 17時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 初めてコメントさせていただきます。続きが気になって仕方ないです。終わり方決まってるんですね、どんな風になるのか楽しみにしてます。これからも応援してます。 (2020年3月4日 12時) (レス) id: 1ea5bff0da (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ゆきさん» めちゃくちゃ嬉しいです……(;ω;)一応終わらせ方のだいたいの方向性は決まってるので最後まで見て頂けると幸いです(●´▽`●) (2020年3月1日 12時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めまして、こんにちわ!このお話とても面白くて凄く好きです!これからどうなるのかとても楽しみです♪無理せず頑張ってください!応援してます(*´ω`*) (2020年3月1日 10時) (レス) id: d382303660 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ウーロンティーさん» 光栄です! ありがとうございます、頑張ります〜!! (2020年2月19日 0時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月24日 18時