記憶186 ページ46
「そんなにくっつかれたら食べにくいよ……」
これでもかとぎゅうぎゅう私にくっついてくる伏木蔵くんと乱太郎くん。
好かれているのだと実感して、迷惑という感情より喜びが勝る……が、これでは箸も動かせない。
「……だって、離れたらまたAさん倒れちゃうかも」
左から拗ねたような伏木蔵くんの声。それに呼応するように右手に絡みついた乱太郎くんの腕がその力を強めた。
困っているのは事実だ。
せっかくの料理もこのままでは冷めてしまうし、二人も全く箸を動かしていない。
昼食を残して午後の授業に出るつもりか……いや、おばちゃんはそれを許さないだろう。
もしかしたら私も一緒にお叱りを受けることになるのでは。
目の前で湯気を立てている唐揚げ。
周りの生徒たちはこちらには目もくれず食事を再開していた。
お腹が減った。
心に同調してか、本日三度目の腹の音。
右手に絡みついていた腕が緩んだので、乱太郎くんの方を見ると目が合った。
眉を下げて苦笑する。
「お腹空いちゃった」
解放された右手で乱太郎くんの頭を撫で、次いでぴったりとくっついている伏木蔵くんの右肩をとんとんと叩いた。
柔らかそうな頬を不機嫌そうに膨らませたが分かってくれたようで、そそそっと少しずつ離れてくれた。
「ほら、二人も食べよう。授業遅れちゃうよ」
私を挟んでアイコンタクトをとる二人。
しばらくしてから納得した様子ではないけれど、もそもそとゆっくり箸を動かし始めた。
私も同じようにして、まだ温かそうな唐揚げを口に入れる。
サクサクと口の中で音を立てる唐揚げは噛む度に肉汁が溢れてきた。
久々の食事はあったかくて美味しくて、思わず涙が零れそうになった。
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小学7年生(プロフ) - ビビさん» コメントありがとうございます! ぼんやりとしか決まってないですが、アンケの結果を考慮するとこんなるかなぁというのはあります! ありがとうございます、最後まで頑張ります(^^) (2020年3月4日 17時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 初めてコメントさせていただきます。続きが気になって仕方ないです。終わり方決まってるんですね、どんな風になるのか楽しみにしてます。これからも応援してます。 (2020年3月4日 12時) (レス) id: 1ea5bff0da (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ゆきさん» めちゃくちゃ嬉しいです……(;ω;)一応終わらせ方のだいたいの方向性は決まってるので最後まで見て頂けると幸いです(●´▽`●) (2020年3月1日 12時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めまして、こんにちわ!このお話とても面白くて凄く好きです!これからどうなるのかとても楽しみです♪無理せず頑張ってください!応援してます(*´ω`*) (2020年3月1日 10時) (レス) id: d382303660 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ウーロンティーさん» 光栄です! ありがとうございます、頑張ります〜!! (2020年2月19日 0時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月24日 18時