記憶168 ページ28
「あれ? Aちゃんお出かけ?」
校門に行くもそこには小松田さんの姿しかなかった。
遅れてることに怒るとかそういうことではなく、単純にさっきの場所からくの一長屋は距離があったし、着替えもしなければならなかったため待たせてるだろうなと思っていた。
【城下町へ行ってきます】
「許可貰えたんだね。今日は六斎市が開かれてるから賑わってると思うよ」
六斎市。
たしか室町時代で月に六回定期的に行われていた市のこと。
それで学園長は突然こんな思い付きをなされたのか。
「初めての町になるのかあ、楽しんでね」
私より数倍嬉しそうな顔をする小松田さんにくすりと笑ってしまう。
まるで自分のことのように喜んでくれている。
「先に着いているつもりだったんだけど父上に会ったら言いたいことが次から次へと出てきてしまってね。もう行ける?」
登場した利吉さんは少しだけ申し訳なさそうに眉を八の字にした
。親子なんだし積もる話もあるのだろう。
頷くと「ところで」と話を変えられる。
「……それ、持っていくつもりじゃないよね?」
それ、と言って指さしたのは私が持っているノート。
これがなければ意思疎通が出来なくなってしまうのでもちろん持っていくつもりだった。
【何か問題がありますか?】
首を傾げると、問題しかないと利吉さんは腰に手を当てた。
「君のいた時代ではそれが主流なのかもしれないが、この時代は違う。そんなもの持ってたら怪しまれる」
「確かに!」
小松田さんが私と一緒に納得していた。
ちょっと待っててと走って事務室に向かった彼はボロボロになって帰ってきた。
何があったのかなど聞くまでもない。
きっと転けたのだ。
「これ使って」
私の元まで来て矢立(筆と墨壺を組み合わせた筆記用具)と和綴じ本を手渡す。
いや、でもこれは……。
【学園の備品なのでは】
一瞬ギクリと固まる小松田さんに確信する。
受け取れないなと思って返却しようとするが、利吉さんが町で替えを買ってくればいいと言ってくれた。
【でも私、お金もってないです】
それを見てよくぞ言ってくれたとばかりに口角を上げて笑う利吉さん。
「学園長先生がお小遣いくれてるから心配しないで」
取り出された巾着をポンポンと手の上で弾ませると、ジャラジャラと金属同士がぶつかり合う音がした。
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小学7年生(プロフ) - ビビさん» コメントありがとうございます! ぼんやりとしか決まってないですが、アンケの結果を考慮するとこんなるかなぁというのはあります! ありがとうございます、最後まで頑張ります(^^) (2020年3月4日 17時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 初めてコメントさせていただきます。続きが気になって仕方ないです。終わり方決まってるんですね、どんな風になるのか楽しみにしてます。これからも応援してます。 (2020年3月4日 12時) (レス) id: 1ea5bff0da (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ゆきさん» めちゃくちゃ嬉しいです……(;ω;)一応終わらせ方のだいたいの方向性は決まってるので最後まで見て頂けると幸いです(●´▽`●) (2020年3月1日 12時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めまして、こんにちわ!このお話とても面白くて凄く好きです!これからどうなるのかとても楽しみです♪無理せず頑張ってください!応援してます(*´ω`*) (2020年3月1日 10時) (レス) id: d382303660 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ウーロンティーさん» 光栄です! ありがとうございます、頑張ります〜!! (2020年2月19日 0時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月24日 18時