記憶141 ページ1
六年生と別れた帰り道の途中、私は灰色の髪をした彼に手のひらを貸してもらっていた。
別に引きちぎったとか、切り取ったとか、そういう訳ではない。
歩きながら地面に文字を書くことは出来ないし、かといって紙も筆記用具も持ち合わせていないため(持っていたとしても歩きながらでは上手く書けないだろうが)、言葉を伝える手段が人の手のひらに指で字をなぞるしかなかったのだ。
【おなまえは?】
少しでも分かりやすいようにゆっくり書く。
無事伝わったようで、「名前ですね」と自己紹介を始めてくれた。
「竹谷八左ヱ門です。生物委員会の委員長代理を務めてます」
「八左ヱ門は僕達と同じ組なんですよ」
前の方から、こちらを振り向き教えてくれた不破さん。
"達"ということは他にも同じクラスの人がいるのだろうか。
「あと一人は三郎です」
不破さんと並んで歩く鉢屋さんを竹谷さんが指さす。
鉢屋さんはの方を見るとまるで、巻き込むな、とでも言いたげに顔を歪めてすぐに前を向いてしまった。
なるほど、どうりで。
「だ か ら 仲 が い い ん で す ね。……うーん、仲はいいですけど雷蔵は困ってることも多いみたいですよ?」
私の書いたことを復唱してからそれに対する解答をする。
「三郎のやつ、雷蔵の変装をするだけじゃなくて雷蔵になりきるもんだから、三郎がした約束を雷蔵が請け負うことになったりとか」
再度振り返った不破さんは困り眉をしながら口元まで
「この前は、三郎が僕の手作り豆腐を食べ比べすると約束したのに、雷蔵にその役を押し付けたんです」
ヒョコッと竹谷さんの横から現れた久々知さんが話す。
私は鉢屋さんの情報より、彼が豆腐を手作りしているという事実に驚き興味をひかれた。
「毒虫の世話をする約束も、結局雷蔵が代わりにやってくれたしな」
それはかなり迷惑な話だ。
しかし、五年間も一緒にいるのであれば、どんなに完璧な変装でも分かりそうだが。
そう上手くはいかないものなのだろうか。
そのことについて尋ねてみると、普段は不破さんの迷い癖をもって二人を見分けているらしいが、最近ではその迷い癖まで真似られるため分からないと言った。
「その件はもう解決したろ。今更掘り起こすなよ」
前の方からズカズカと鉢屋さんが歩いてきて、不破さんもそれに着いてくる。
そのまま私たちは六人で固まって、談笑しながら学園に帰った。
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小学7年生(プロフ) - ビビさん» コメントありがとうございます! ぼんやりとしか決まってないですが、アンケの結果を考慮するとこんなるかなぁというのはあります! ありがとうございます、最後まで頑張ります(^^) (2020年3月4日 17時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ビビ - 初めてコメントさせていただきます。続きが気になって仕方ないです。終わり方決まってるんですね、どんな風になるのか楽しみにしてます。これからも応援してます。 (2020年3月4日 12時) (レス) id: 1ea5bff0da (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ゆきさん» めちゃくちゃ嬉しいです……(;ω;)一応終わらせ方のだいたいの方向性は決まってるので最後まで見て頂けると幸いです(●´▽`●) (2020年3月1日 12時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 初めまして、こんにちわ!このお話とても面白くて凄く好きです!これからどうなるのかとても楽しみです♪無理せず頑張ってください!応援してます(*´ω`*) (2020年3月1日 10時) (レス) id: d382303660 (このIDを非表示/違反報告)
小学7年生(プロフ) - ウーロンティーさん» 光栄です! ありがとうございます、頑張ります〜!! (2020年2月19日 0時) (レス) id: f875b378db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月24日 18時