3 ページ4
*
あのあと結局犬飼先輩と一緒にログを見ることになり、帰ろうと思ったら彼女とばったり出くわしてしまった。
俺の体は相変わらず反射的に逃げようとする。そんな俺の腕を犬飼先輩が掴んで逃げられないようにしてきた。意外と犬飼先輩の力は強く逃げるのが困難と考えた俺は出来るだけ彼女を視界に入れないようにしてどうにかやり過ごすことにした。
「今話題の霧生ちゃんじゃん！」
「あ、犬飼先輩ですよね･･･？はじめまして
辻くんもさっきぶりだね」
彼女が声をかけてくれたものの、俺は絞り出したようなか細い声でうん…としか答えられなかった。
「はじめまして〜うちの辻ちゃんがお世話になってるんだって？」
「いやいや、さっきちょっと教室で話しただけですよ。お世話になるってほどじゃないです」
彼女の焦った声が聞こえる。
「辻ちゃん女の子苦手だから話しにくいっしょ」
「そんなことないですよ。ちゃんと話聞いてくれてるんだってわかりましたし」
俺を置いて２人はどんどん会話している。
彼女の方見れずにどうしようかと思っていると太刀川さんがやってきた。
「Aこんなところにいたのか。出水が送ってくから早く準備しろ」
「あ、太刀川さん。了解です。すぐ行きます」
二人の会話は短く、太刀川さんは軽く彼女の頭を撫でて行ってしまった。
「じゃあ、えっと、出水が待ってるのでお先に失礼しますね
辻くん、またあした」
「ばいばーい」
犬飼先輩は答えたが、俺は急に声かけられたからかビクッとするだけで特に何も言えず彼女は行ってしまった。
｢霧生ちゃん超いい子じゃん。早くひゃみさんみたいに話せるようになるといーね｣
｢そうですね…｣
今は話しかけてくれるけど、俺の女子苦手が克服できなかったらいずれ話しかけてすらしてくれなくなるかもしれない、反射的に逃げようとするのも、彼女の方を向けないのも話しかけてくれてる彼女に対してすごく失礼なことだろう。そう思ったら悔しい気持ちと少し悲しい気持ちにもなった。俺は多分自分が思ってるより歩み寄ってきてくれた彼女に惹かれているのかもしれない。今はログで彼女を視界に入れることしか出来ないけど、早くひゃみさんと同じくらい話せるようになりたい。心の底からそう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羽憐(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！辻ちゃん可愛い…！！続き楽しみにしてます！！ (2019年6月5日 23時) (
レス) id: dc480b39e0 (このIDを非表示/違反報告)
沖島(プロフ) - 2話の比喩表現がとても綺麗で辻くんの瞳から見える光景はどんなに綺麗に見えるのかと一言考え込んでは唸りそうになりました。今後ライバルになりそうな出水くんとのやり取りや夢主と普通に話せる関係に至るまでの流れが気になります……！ (2019年4月1日 18時) (レス) id: 2fdfab8df6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふらいどぽてと。 | 作成日時：2019年3月31日 2時
